Windows 10 アクションセンターの「メモ」ボタンをカスタマイズする方法

概要
Windows 10 のアクションセンターには、ナイトライトや通知のサイレントモードなどを切り替える複数のクイックアクションボタンがあります。その中にある「メモ(Note)」ボタンは、既定で OneNote を起動します。OneNote を使いたくない場合、このボタンの動作を変更して別のメモアプリやウェブサービスを割り当てることが可能です。
この変更は Windows の設定画面からは行えませんが、Windows レジストリの該当キーの「Uri」値を編集するだけで実現できます。以下では手順、注意点、トラブルシューティング、代替案、チェックリストをまとめます。
必要条件と用語(ワンライン定義)
- UWP(ユニバーサル Windows プラットフォーム): Windows ストアで配布される現代的なアプリの実行モデル。
- URI: アプリやサービスを識別・起動するためのスキーム(例: ms-todo:)。
手順(レジストリで「メモ」ボタンを変更する)
レジストリエディターを開く。
- Win + R を押して「regedit」と入力し Enter を押す。
- またはスタートメニューで「regedit」を検索して起動する。
以下のキーに移動する。エクスプローラー風のアドレスバーにパスを貼り付けて Enter を押すと便利です。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\ActionCenter\Quick Actions\All\SystemSettings_Launcher_QuickNote
右ペインで値 “Uri” を探し、ダブルクリックして編集ダイアログを開く。
変更の前に元の値(既定の URI)を必ずコピーしてテキストファイルなどに保存しておく。復元時に必要です。
値データに以下のどちらかを入力して「OK」を押す。
- Web サービスに飛ばす場合: そのサービスの通常の URL(例: https://keep.google.com/)。
- UWP アプリを起動する場合: アプリ固有の URI スキーム(例: ms-todo:)。
例: Google Keep を開きたいなら Value Data に https://keep.google.com/ を入れる。
編集後、アクションセンターを開いて「メモ」ボタンを押し、期待したアプリまたはページが開くか確認する。
Web サービスを割り当てる場合の注意点
- 入力欄には通常の https:// から始まる URL を使えます。ブラウザでその URL を開く挙動になります。
- サービス側がモバイル/デスクトップでリダイレクトする場合、期待した UI が開かないことがあります。
- オフラインで使えないウェブサービスを指定すると、ネット接続が無い環境では起動に失敗します。
UWP アプリを割り当てる場合の注意点
- 値データには “ms-todo:” やアプリ固有の URI スキームなど、アプリが登録しているスキームを正確に入力する必要があります。
- 一般的な .exe のファイルパスやショートカットパスは使えません(従来型デスクトップアプリは動作しないことが多い)。
- 対象のアプリはあらかじめ Windows ストアからインストールしておいてください。
- アプリ固有の URI は開発者や公式ドキュメントで確認してください。
例: Microsoft To Do を開くなら “ms-todo:”、Evernote はアプリ側で公開されているスキームを使います(アプリにより異なる)。
復元方法
- 元に戻したいときは、前もって保存しておいた既定の URI を同じ “Uri” 値に貼り付けて「OK」を押すだけです。
よくある問題と対処
重要: レジストリ操作はシステムに影響する可能性があります。操作前にシステム復元ポイントを作成することを推奨します。
ボタンを押しても何も起きない
- 指定した URI/URL が正しいか確認する。
- ブラウザにリダイレクトされる URL の場合、既定ブラウザの設定が影響する。
- UWP の URI を使う場合、該当アプリがインストール済みか確認する。
期待したアプリではなくブラウザが開く
- Web URL を設定した可能性がある。UWP アプリを直接起動するにはアプリの URI スキームを使う必要がある。
.exe を指定しても動作しない
- 対応していない実行モデルです。UWP 型の URI または Web URL を使ってください。
代替アプローチ
- サードパーティ製のユーティリティを使う: 一部の Windows カスタマイズツールはクイックアクションを編集できるものがありますが、安全性と互換性を必ず確認してください。
- ショートカットキーやタスクバーショートカットを活用する: レジストリ変更を避けたい場合は、普段使うアプリをタスクバーに固定したり、キーボードショートカットを割り当てて起動を速くする方法も有効です。
役割別チェックリスト
一般ユーザー
- 既定の URI をテキストファイルにバックアップした
- 変更後にアクションセンターで動作を確認した
- 変更前の復元手順を控えている
IT 管理者
- グループポリシーや管理イメージでの影響を評価した
- 大規模展開時の標準手順(SOP)を作成した
- サポート用のロールバック手順を用意した
トラブルシュート簡易フロー(判断のヒント)
- ボタンが動作しない → URI が正しいか確認 → UWP の URI ならアプリがインストール済みか確認 → それでもダメなら既定の URI に戻して動作確認
ミニ手順(最短まとめ)
- regedit を開く。
- 指定キーに移動。
- 右ペインの Uri をバックアップして編集。
- URL または UWP URI を貼り付けて OK。
- 動作確認。
1行用語集
- Uri: アプリや Web サービスを識別し起動するための文字列(例: https://example.com/ や ms-todo:)。
いつこの方法が向かないか(カウンター例)
- 企業の管理下でレジストリへの変更が制限されている場合は、管理者許可なしで変更できません。
- 独自のデスクトップアプリ(.exe)を割り当てたい場合、この方法だとうまく動作しない可能性が高いです。
まとめ
Windows レジストリの Uri 値を編集するだけで、アクションセンターの「メモ」ボタンの挙動を自分好みに変更できます。変更前に既定の値を保存し、UWP アプリや Web サービスの特性を理解した上で作業してください。問題が起きたら元の URI に戻して確認することが最も簡単な復旧手段です。
重要: レジストリの編集は注意して行ってください。操作前にシステム復元ポイントやレジストリのエクスポートで安全策を取ることをおすすめします。