ONLYOFFICE を Docker スクリプトで自動インストールする手順と新機能

概要
ONLYOFFICE は企業向けのオフィススイートで、CRM、プロジェクト管理、ドキュメント管理、コラボレーション機能、カレンダー、メールなどを統合します。主な構成要素は以下の通りです:
- Community Server:People、Projects、CRM、Documents、Community、メールクライアント、カレンダー、チャットなど 8 つのモジュールを提供します。
- Document Server:テキスト、スプレッドシート、プレゼンテーションのオンラインエディタ。リアルタイム共同編集、バージョン履歴の確認、レビューが可能です。
- Mail Server:オプションでインストールできるメールサービス。
用語(1 行定義)
- Community Server:ユーザー管理やポータル等を提供するアプリケーション層です。
- Document Server:オンライン編集と共同編集のエンジンです。
- Docker スクリプト:ONLYOFFICE をコンテナで自動的に構築するシェルインストーラです。
重要: 本ガイドはローカルまたはサーバー上で Docker が許可されている環境を前提とします。クラウド上での商用運用や公開ドメインを使用する場合は、証明書やファイアウォール設定を適切に行ってください。
新機能(主な変更点)
Community Server 9.0
- DocuSign との統合により、電子署名ワークフローが利用可能になりました。
- 共有ウィンドウの再設計と自動生成される短縮リンクの追加。
- バージョン履歴からの以前の文書バージョン復元機能。
- Projects の Tasks と Discussions セクションを再設計。ナビゲーションが向上。
- タスクおよびサブタスクのコピー機能。
Document Server 4.3
- 脚注の追加と編集に対応。
- 高速共同編集モードでの取り消し(Undo)機能。
- スペルチェッカーの対応言語追加。
- スプレッドシートに新しい数式・罫線スタイル・「形式を選択して貼り付け」が追加。
重要: 新機能はバージョン間で動作や互換性が変わる可能性があります。複数ユーザーや拡張機能を運用する場合は、ステージング環境で検証してください。
システム要件と依存関係
ハードウェア要件(推奨)
- CPU:デュアルコア 2 GHz 以上
- RAM:6 GB 以上
- ストレージ:最低 40 GB の空き容量
- 追加:スワップ 6 GB 以上を推奨
ソフトウェア要件
- OS:amd64 アーキテクチャの Linux(カーネル 3.10 以降)
- Docker:バージョン 1.10 以降
ファクトボックス(キーポイント)
- 最小推奨 RAM:6 GB
- 最低ディスク空き容量:40 GB
- Docker 必須:はい
互換性メモ
- 古いカーネルや 32-bit OS では動作しません。仮想環境での運用時は amd64 を選択してください。
インストール手順(自動スクリプト)
準備
- SSH またはコンソールでサーバーにログインします。
- 必要なポート(HTTP/HTTPS、メールポートなど)がファイアウォールで許可されていることを確認します。
- 事前にドメインと DNS を用意する(Mail Server を導入する場合は必須)。
手順
- ターミナルを開きます(Ctrl+Alt+T など)。
- スクリプトをダウンロードします。
wget http://download.onlyoffice.com/install/opensource-install.sh
- ドキュメントエディタを含めて ONLYOFFICE をインストールします。
bash opensource-install.sh -ims false
- Mail Server も導入する場合は、登録済みのドメイン名を指定して実行します。
bash opensource-install.sh -md "yourdomain.com"
注:スクリプトは Docker コンテナと必要な依存関係を自動的にダウンロードして設定します。初回実行ではイメージの取得に時間がかかる場合があります。
起動と初期設定
- Web ブラウザを開き、サーバーの IP アドレスまたはホスト名を入力します。
画像説明: ONLYOFFICE 9 のダッシュボードのスクリーンショット
- 初期化プロセスは数分かかることがあります。完了後、管理者メールとパスワードを指定してログインアカウントを作成してください。
よくあるトラブルと対応
- Docker イメージのダウンロードが遅い/失敗する
- ネットワーク帯域やプロキシ設定を確認してください。企業ネットワークではプロキシ経由の設定が必要です。
- サービスが起動しない
docker ps -a
でコンテナ状態を確認し、ログはdocker logs
で確認します。
- メールが届かない(Mail Server 導入時)
- DNS の MX レコード、SPF、DKIM 設定を確認してください。
トラブルシューティングの基本コマンド例
docker ps -a
docker logs onlyoffice-community-server
docker logs onlyoffice-document-server
役割別チェックリスト
管理者
- サーバー要件を満たしているか確認
- 必要なポートを開放
- DNS と SSL 証明書の手配
- 定期バックアップのポリシー作成
運用担当
- コンテナとイメージの監視設定
- ログローテーションとディスク使用量の監視
- ユーザーアカウントと権限の管理
開発者
- Document Server API のエンドポイント確認
- 共同編集ワークフローのテスト
セキュリティとプライバシーの注意点
- 公開サーバーで運用する場合は必ず HTTPS を有効化してください。
- メールサーバーを導入する場合、SPF/DKIM/DMARC の設定を行い、不正送信を防止してください。
- ユーザーデータは定期的にバックアップを取得し、暗号化を検討してください。
移行と互換性のヒント
- 既存の ONLYOFFICE 環境から移行する場合は、ドキュメントと DB のバックアップを先に取り、ステージング環境で復元テストを行ってください。
- カスタムアプリやプラグインがある場合、Document Server のバージョン互換性を確認してください。
いつ自動インストールが向かないか(対例)
- 高い可用性を求めるプロダクション環境で、複雑なクラスタ構成やロードバランサーを既に使用している場合は、手動で詳細なアーキテクチャ設計を行うべきです。
- 特殊なネットワークポリシーやセキュリティ要件が強い場合は、自動スクリプトは適さないことがあります。
緊急復旧とロールバックの方針(簡易)
- 問題発生時はまず影響範囲を切り分け(コンテナ単位)
- 最新の正常時バックアップから復元を試みる
- 必要ならばスクリプト実行前のスナップショットを用いてロールバック
まとめ
- このガイドでは ONLYOFFICE の新機能ポイントと、自動 Docker スクリプトを使ったインストール手順、運用時のチェックリスト、トラブルシューティングをカバーしました。
- 商用展開ではステージングやバックアップ、SSL と DNS 設定、メールの認証設定を必ず行ってください。
重要: 公式ドキュメントを常に参照し、スクリプトやイメージの最新情報を確認してください。
リンク
- 公式インストールと設定ドキュメント: https://helpcenter.onlyoffice.com
- ソースコードとバイナリ: https://onlyoffice.org
- サポート/コミュニティ: https://dev.onlyoffice.org
短い告知文(社内アナウンス用、100–200 文字)
ONLYOFFICE 9 と Document Server 4.3 の新機能を導入しました。Docker の自動インストールスクリプトで短時間に環境構築できます。メール機能を含める場合はドメイン設定が必要です。まずはステージング環境で動作確認を行ってください。
Критерии приёмки
- Web でログイン画面が表示され、管理者アカウントでログインできること
- ドキュメントの作成と共同編集が動作すること
- (Mail 導入時)メール送受信が確認できること
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