LinuxにFirefox Developer Editionをインストールする方法

なぜFirefox Developer Editionを使うか
Firefoxは一般向けのブラウザですが、Developer Editionは開発者に特化したツールや設定を備えています。主な利点は次のとおりです。
- 開発者向けのUIと拡張ツールが最初から使える。
- 一般版と独立して並行利用でき、設定やプロファイルを分けられる。
- プライバシーやウェブ標準への配慮が強い点。
重要: この記事は公式の tar.bz2 配布を前提にしています。ディストリビューションのパッケージ(snap/flatpak/aptなど)が使える場合は、それらの手段も選べます。ここでは手動インストールの安全な手順を示します。
ダウンロード
- Mozilla の Firefox Developer Edition のダウンロードページにアクセスし、Linux 用の tar.bz2 をダウンロードしてください。
- ダウンロードしたファイルは通常 ~/Downloads に入ります。ファイル名は例: firefox-xx.x.x.tar.bz2 です。
注意: ダウンロード元は必ず公式サイトを使ってください。不明な配布元からのバイナリは避けます。
インストール手順(推奨)
以下の手順は root 権限が必要です。代わりに /opt に書き込めない場合はユーザーのホーム下にインストールする方法(~/.local 以下)も後述します。
- ターミナルを開く。
- ダウンロードした tar.bz2 を展開して一時ディレクトリに置く。
cd ~/Downloads
tar xjf firefox-*.tar.bz2
- /opt に移動する準備をする(sudo を使用)。
sudo -s
cd /opt
mkdir -p firefox-developer
exit
ここで sudo -s は root シェルを一時的に得る方法の一つです。セキュリティポリシーによっては sudo を使わず都度コマンドの前に sudo を付ける方が良い場合があります。
- 展開したフォルダ内の firefox ディレクトリを /opt/firefox-developer に移動する。
cd ~/Downloads/firefox*
sudo mv firefox /opt/firefox-developer
説明: /opt/firefox-developer 以下に Firefox の実行バイナリと関連ファイルが入ります。これでシステム上にアプリケーションが配置されます。
デスクトップランチャーを作る
アプリケーションメニューから起動できるように .desktop ファイルを作成します。テキストエディタで新規ファイルを作り、以下を貼り付けて保存してください。
[Desktop Entry]
Name=Firefox Developer
GenericName=Firefox Developer Edition
Exec=/opt/firefox-developer/firefox/firefox
Terminal=false
Icon=/opt/firefox-developer/firefox/browser/icons/mozicon128.png
Type=Application
Categories=Application;Network;X-Developer;
Comment=Firefox Developer Edition Web Browser
- ファイル名: firefox-developer.desktop
- 一時的にホームフォルダに保存後、実行権限付与してシステムのアプリケーションフォルダに移動します。
chmod +x firefox-developer.desktop
sudo mv firefox-developer.desktop /usr/share/applications/
代替: ユーザー単位でのみ使いたい場合は ~/.local/share/applications/ に置きます(sudo不要)。
動作確認と初期設定
動作確認のチェックリスト:
- アプリメニューに「Firefox Developer」が表示される。
- 起動してバージョン情報(ヘルプ→Firefox について)を確認できる。
- 開発者ツール(F12 または メニュー→Web 開発ツール)が開く。
重要: 既存の Firefox を残しておきたい場合は、別プロファイルを使うか起動オプションでプロファイルを指定してください。プロファイルを共有すると設定や拡張が混ざる可能性があります。
更新とアンインストール
更新:
- tarball から手動でインストールした場合、完全な自動更新は環境や権限によって制限されます。内蔵のアップデータが動作しない場合は、新しい tar.bz2 をダウンロードして同じ手順で置き換えてください。
アンインストール:
sudo rm -rf /opt/firefox-developer
sudo rm /usr/share/applications/firefox-developer.desktop
ユーザープロファイルは ~/.mozilla に残ることがあります。プロファイルを完全に削除する場合は注意して操作してください。
トラブルシューティング
注意: 以下はよくある問題と対処法です。
- .desktop が表示されない: /usr/share/applications に正しく置かれているか、Exec と Icon のパスが正しいか確認してください。キャッシュの再読み込みやログアウト・ログインで反映される場合があります。
- 起動時に権限エラー: /opt 以下の所有者や実行ビットを確認してください。必要に応じて sudo を使って権限を修正します。
sudo chown -R root:root /opt/firefox-developer
sudo chmod -R 755 /opt/firefox-developer
- プロファイルが衝突する: 起動時にプロファイルマネージャを使って別プロファイルを作成します(
firefox -ProfileManager
)。
代替アプローチと運用方針
- パッケージマネージャを利用する: ディストリビューションのリポジトリや snap/flatpak に公式ビルドがある場合、それらを利用すると自動更新や依存管理が楽です。
- コンテナ化: 開発用に完全に切り離した環境が必要なら、コンテナや専用のVMにインストールすることでホストとの干渉を防げます。
開発者向けチェックリスト
Web開発者
- ブラウザが別プロファイルで起動できることを確認。
- 必要な拡張(例: React/Redux DevTools)をインストール。
- リモートデバッグが必要なら設定を確認。
システム管理者
- /opt に配置する場合の所有権とパーミッションポリシーを文書化。
- ユーザー単位での導入方針を決める(/usr/share/applications か ~/.local)。
動作確認の基準
- 起動完了まで 10 秒以内(ハードウェア依存)。
- 開発者ツールが正常に開き、コンソールやネットワークタブでページを検査できる。
- ブラウザが異なるプロファイルで並行して動作する。
1行用語集
- tar.bz2: 圧縮されたアーカイブ形式。展開には tar xjf を使う。
- /opt: サードパーティ製アプリケーションを置くための標準ディレクトリ。
- .desktop: Linux デスクトップメニュー用のランチャーファイル。
まとめ
Firefox Developer Edition は、Linux 環境でも手順に沿えば簡単に使い始められます。/opt に配置して .desktop を作ればシステム全体で利用可能になり、開発作業が捗ります。自分のワークフローに合わせてユーザー単位での導入やパッケージ管理を検討してください。
行動: ダウンロードしてまずは別プロファイルで起動し、開発者ツールを触ってみてください。