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Chromebookに任意のLinuxディストリビューションをインストールする完全ガイド

2 min read チュートリアル 更新されました 03 Oct 2025
Chromebookに任意のLinuxをインストールする完全ガイド
Chromebookに任意のLinuxをインストールする完全ガイド

ChromebookにUSBを接続したラップトップの写真

目次

  • 概要
  • 準備と要件
  • 開発者モードを有効にしてUSBブートを許可する手順
  • Live USBから起動してLinuxをインストールする手順
  • デュアルブートと上書きインストールの比較
  • トラブルシューティングとよくある失敗パターン
  • 代替アプローチと推奨ケース
  • 決定木(どの方法を選ぶべきか)
  • 役割別チェックリスト
  • 要点まとめ

概要

ChromebookはChrome OSを搭載した軽量端末ですが、アプリやゲームの制限やオフライン利用の制約から別のLinuxディストリビューションへの移行を考える人が増えています。本稿はChromebook上で任意のLinuxディストリビューション(ここでは例としてSolusを挙げます)をUSBブートからインストールする手順を、初心者にも分かりやすくまとめたガイドです。

用語定義(1行)

  • Live ISO: ライブセッションで起動できるISOイメージ。インストール前にデスクトップ環境を試せます。

重要な前提

  • 対象は主にIntelベースのChromebookです。ARM機は互換性やドライバの問題が多く、本ガイドの手順は当てはまらない可能性があります。
  • 開発者モードへの切替はローカルデータを初期化します。必ずバックアップしてください。

重要: 開発者モードを有効にすると端末のセキュリティ設定が緩和されます。自己責任で行ってください。

準備と要件

  1. ハードウェア要件

    • Intel x86/x64 CPUを搭載したChromebook(ARMは非推奨)。
    • 空のUSBメモリ(8GB以上を推奨)。
    • 安定したインターネット接続(インストール中のパッケージ取得用)。
  2. ソフトウェアとイメージ

    • 利用するLinuxディストリ(例: Solus、Ubuntu、Fedoraなど)のLive ISO。必ず「Live ISOでグラフィカルデスクトップが起動する」ものを選ぶ。
    • USB書き込みツール(Etcher、Rufus、ddなど)。
  3. データのバックアップ

    • Chrome OS上のローカルデータは開発者モードで消去されます。Googleアカウント同期だけでなく、ローカルファイルは外部にバックアップしてください。
  4. 事前確認チェックリスト

    • Chromebookモデル名とCPUアーキテクチャを確認
    • BIOS/SeaBIOSの有無とサポート状況を確認(モデルによってはSeaBIOSが見えないことがあります)

開発者モードを有効にしてUSBブートを許可する手順

手順の要点: 開発者モードを有効にし、dev_boot_usbとdev_boot_legacyを有効化します。これによりUSBからの起動が可能になります。

  1. USBメモリにLive ISOを書き込む

    • EtcherやRufus、LinuxのddコマンドなどでISOをUSBに書き込む。
  2. Chromebookをシャットダウン

  3. リカバリーモード画面へ

    • Chromebookの電源を入れる際、EscキーとRefreshキー(Cirular矢印)を押し続け、Powerを押して警告画面を表示させます。
  4. 開発者モードの有効化

    • 警告画面が表示されたらすぐにCtrl+Dを押します。これで開発者モードへの切替が始まります。初回は数分かかります。
    • 開発者モード有効化によりローカルストレージが初期化される旨の確認が表示されます。
  5. Chrome OSのターミナルを開く

    • 開発者モードで起動したら、Ctrl+Alt+T を押してCrosh(Chrome OSのシェル)を開きます。
    • croshが開いたら以下を入力してシェルに入ります:
shell
  1. USBブートを許可するクロスシステム設定
sudo crossystem dev_boot_usb=1 dev_boot_legacy=1
  1. USBを挿したままシャットダウンして再起動
    • 再起動時、警告画面が表示されたら素早くCtrl+Lを押してLegacy BIOS(SeaBIOS)またはUSBブートに切り替えます。

注記

  • 一部のChromebookではSeaBIOSが見えない、またはLegacyブートがサポートされない場合があります。Acer C740など一部機種でテストされた例ではSeaBIOSメニューが表示されないことが確認されています。
  • Ctrl+Lは以後、Linuxへブートする際のキーボードショートカットになります(モデルによっては挙動が異なる場合があります)。

Live USBから起動してLinuxをインストールする手順

  1. Liveセッションの起動

    • USBを挿した状態でCtrl+Lを押し、USBから起動します。Liveセッションが立ち上がるまで1〜2分かかります。
  2. インストール前の操作

    • Liveデスクトップ上でネットワークに接続し、ハードウェア(Wi-Fi、タッチパッド、ディスプレイ)の動作確認をします。
    • 必要ならば追加のファームウェアやドライバの有無を確認してください(特にWi-Fiやオーディオ)。
  3. インストーラを実行

    • ディストリビューションのインストーラを起動し、画面の指示に従ってインストールを進めます。
    • パーティションについては以下の選択肢があります:
      • ディスク全体を上書きしてLinuxのみをインストール(Chrome OSは消去されます)。
      • 手動パーティション(root, swap, /homeを分けるなど)。
      • デュアルブート(Chrome OSを残す) — この方法はモデル依存で難易度が上がる場合があります。

サンプルのパーティション例(フルインストール向け)

  • / (root): ext4 20〜30GB以上推奨
  • swap: RAM容量に応じて(0〜RAMと同程度)
  • /home: 残り容量を割当
  1. インストール完了後
    • インストールが終了したらシャットダウンし、USBを取り外します。
    • 端末を起動し、素早くCtrl+Lを押してインストール先からのブートを確認します。

受け入れ基準

  • OSが起動してログイン画面が表示されること
  • ネットワーク接続(少なくともEthernetまたはWi-Fi)が機能すること
  • キーボード、タッチパッド、ディスプレイの基本操作が可能であること

デュアルブートと上書きインストールの比較

  • デュアルブート

    • 長所: Chrome OSの機能を保持しつつLinuxを利用できる
    • 短所: ブート設定やパーティション操作が難しく、Chromebookモデルによっては非推奨
  • 上書きインストール

    • 長所: システムがシンプルで互換性の問題が少ない
    • 短所: Chrome OSを消すため、元に戻すにはChrome OSリカバリーが必要

トラブルシューティングとよくある失敗パターン

  1. USBから起動しない

    • 対処: crossystemの設定を再確認。USBの書き込み形式(UEFI/Legacy)を確認して再作成。
  2. SeaBIOSやLegacyメニューが表示されない

    • 理由: Chromebookの機種によってはSeaBIOSが非表示、またはブートを許可していない。
    • 対処: 別の方法(chrx, Crouton, Crostini)を検討する。
  3. Wi-Fiやタッチパッドが動作しない

    • 理由: 専用のファームウェアやドライバが必要な場合があります。
    • 対処: Ethernetで接続して追加ドライバを取得するか、別ディストロを試す。
  4. データ消失

    • 常に事前にバックアップを取っておくこと。Chrome OSのリカバリーユーティリティで復旧可能ですが、手順を誤るとデバイスを一時的に使えなくなることがあります。

代替アプローチと推奨ケース

  • Crostini(Chrome OS上の公式Linuxコンテナ)

    • 軽度のLinuxアプリ利用に最適。開発者モード不要で安全。
  • Crouton(chrootベースの同居)

    • Chrome OSを残しつつDebian/Ubuntu系の環境を同時実行できる。主に開発者向け。
  • chrx(デュアルブート補助ツール)

    • デュアルブートを簡略化するサードパーティツール。使用は自己責任。

おすすめ選択ガイド

  • 日常利用で軽いLinuxアプリを試したい: Crostini
  • フル機能のLinuxデスクトップが必要: Live USBからのインストール(本ガイド)
  • デュアルブートを簡単にしたい: chrxを検討

決定木

以下は簡易的な意思決定フローです。

flowchart TD
  A[ChromebookをLinux化したい?] --> B{Intel搭載?}
  B -- いいえ --> C[ARMは非推奨。別の方法を検討]
  B -- はい --> D{少しだけ使う?}
  D -- はい --> E[Crostiniを試す]
  D -- いいえ --> F{Chrome OSは残したい?}
  F -- はい --> G[chrxまたはCrouton]
  F -- いいえ --> H[本ガイドのUSBインストール]

役割別チェックリスト

  • 開発者

    • バックアップ完了
    • SSH/開発ツールのインストール手順を用意
    • カーネルモジュールやビルド環境を確認
  • 学生 / 一般ユーザー

    • 必要なアプリ(ブラウザ、オフィス、メディア)の一覧作成
    • Wi-Fiやプリンタの互換性を確認
  • 管理者 / IT担当

    • リカバリープロセスを検証
    • セキュリティとアップデート手順を整備

要点まとめ

  • ChromebookをLinux化する方法は複数あり、目的と機種で最適解が変わります。
  • Intel機であればLive USBからのインストールが最も直接的ですが、開発者モードでローカルデータが消える点に注意してください。
  • 問題が起きた場合は、USBの書き直し、crossystem設定の確認、または別のディストリを試すことが有効です。

補足: Chrome OSの復元はGoogleのリカバリーツールを使用して可能です。復元メディアは別途作成してください。

要約

  • 手順を守ればChromebookでフル機能のLinuxが動きます。
  • 常にバックアップを取り、機種特有の互換性問題に備えてください。
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