Multiversusの「Waiting for Game」問題を解決する方法

MultiversusはPC向けのプラットフォームファイティングゲームで人気を集めていますが、どんなゲームにも不具合はつきものです。Windowsでプレイしていると、起動時に「Waiting for Game(ゲームを待機中)」というメッセージのまま先に進めないケースが報告されています。この記事ではその原因と、段階的に解決するための実践的な手順を詳しく解説します。
なぜMultiversusが「Waiting for Game」で止まるのか
原因は複数考えられますが、特にWindows環境ではEasy Anti-Cheat(通称 EAC)が関係するケースが多く見られます。EACは多くのオンラインゲームで使用されている不正対策ツールで、起動時に正常に動作しないとゲームが前に進めないことがあります。
定義(1行): Easy Anti-Cheat(EAC) — オンラインゲームの不正行為を検出・防止するためのサードパーティー製プログラム。
以下の手順は、簡単なものからシステムレベルの診断まで段階的に並べています。順番に試すと効率的です。
目次
- やることの全体像
- ステップ 1: ゲームファイルの整合性を確認する
- ステップ 2: Easy Anti-Cheat を再インストールする
- ステップ 3: EasyAntiCheat_EOS.sys を削除する
- ステップ 4: システムファイルチェッカー(SFC)を実行する
- 追加の対処法(管理者向け/プレイヤー向け)
- 失敗するケースと代替アプローチ
- トラブルシューティング・フローチャート(意思決定図)
- 役割別チェックリスト
- クリティカルな受け入れ基準
- 1行用語集
- まとめ
ステップ 1: ゲームファイルの整合性を確認する
まずは最も簡単で効果が高い方法から。クライアントに内蔵されている「ゲームファイルの検証」機能を使って、破損や欠損のあるファイルを再ダウンロードさせます。Steam と Epic Games Launcher の両方に対応しています。
Steam の場合
- Steam のライブラリで Multiversus を右クリックし、プロパティを開きます。
- 「ローカルファイル」を選び、「ゲームファイルの整合性を確認」をクリックします。
- 検証が終わったら、ゲームを再起動して挙動を確認します。
Epic Games Launcher の場合
- ライブラリ内の Multiversus エントリ右下の三点アイコン(…)をクリックします。
- 「管理」を選び、「ファイルの検証」欄の『検証』ボタンを押します。
- 同様に再起動して確認します。
クライアントが問題のあるファイルを検出した場合は自動で再ダウンロードします。この操作で解決することが最も多く、まずここから始めてください。
注意: Steam 自体に起動やダウンロードの不具合がある場合、別途 Steam のトラブルシューティングを確認してください。
ステップ 2: Easy Anti-Cheat を再インストールする
ゲームファイルの検証で解決しない場合、Easy Anti-Cheat(EAC)フォルダを削除して再インストールを促す方法が有効です。手順は以下の通りです。
- Multiversus のインストールフォルダを開きます。Steam では先ほどのプロパティ → ローカルファイル → 「参照」で開けます。Epic のデフォルトは通常 C:\Program Files\Epic Games 以下です。
- インストールフォルダ内の EasyAntiCheat フォルダを削除します。
- フォルダを削除したら、再度ランチャーで「ゲームファイルの整合性を確認(検証)」を実行します。クライアントが EAC の欠如を検出して再ダウンロードします。
- ダウンロード完了後、Multiversus を起動して正常に進むか確認します。
ポイント: フォルダを削除する前に、ゲームとランチャーを完全に終了しておくこと。管理者権限のあるエクスプローラーで実行すると権限エラーを避けられます。
ステップ 3: EasyAntiCheat_EOS.sys を削除する
もしフォルダ丸ごと削除しても改善しない場合、EAC のカーネルドライバファイル(EasyAntiCheat_EOS.sys)が破損していることがあります。次の手順でこのファイルを削除または移動してみてください。
- Multiversus と関連ランチャーを完全に終了します。
- エクスプローラーで「Program Files (x86)」配下の EasyAntiCheat 関連フォルダを探します。EAC のフォルダが2つあり、片方に “_EOS” が付くケースがあります。必ず _EOS が付いたフォルダを開いてください。
- その中の EasyAntiCheat_EOS.sys を削除するか、別の場所に移動(バックアップ)します。
- その後、ランチャーでゲームファイル検証を行うと、新しい EasyAntiCheat_EOS.sys が生成されます。ゲームを起動して確認してください。
注意: この操作はシステムドライバを扱うため、削除前にバックアップを取ることと、万が一のためシステム復元ポイントを作っておくことを推奨します。
ステップ 4: システムファイルチェッカー(SFC)を実行する
上記の対処で改善しない場合、Windows 側のシステムファイルに問題がある可能性があります。Windows の System File Checker(SFC)ツールを使ってシステムファイルを検査・修復します。
- スタートメニューで「CMD」と検索し、表示されたコマンドプロンプトを右クリックして「管理者として実行」を選びます。
- 以下のコマンドを入力して実行します。
SFC /scannow- スキャンが完了するまで待ちます。問題が検出された場合は自動で修復されることがありますが、修復できない場合は追加の対応(DISM コマンドや Windows の修復)が必要です。
注: SFC の結果に “Windows Resource Protection found corrupt files but was unable to fix some of them” のようなメッセージが出る場合、DISM ツールを使って Windows イメージを修復する手順が次の段階として推奨されます。
追加の対処法(プレイヤー向け)
上の主要な4ステップで直らない場合に試せる追加項目を並べます。
- ランチャーとゲームを管理者として実行する(右クリック → 管理者として実行)。
- Windows Update と GPU ドライバーを最新版に更新する。
- オーバーレイ(Discord、NVIDIA GeForce Experience、Steam オーバーレイなど)を一時的に無効化する。
- セキュリティソフト/ファイアウォールがEACをブロックしていないか確認する。EAC とランチャーを例外登録する。
- VPN を使用している場合は一時的に切断して試す。
- クリーンブート(最小限のサービスで起動)で他プロセスの干渉を切り分ける。
- 最終手段としてゲームをアンインストールして再インストールする。
これらは干渉要因の切り分けや環境整備に有効です。
失敗するケースと代替アプローチ
重要: すべてのケースで上記が有効とは限りません。以下は代表的な「解決しない」状況とその代替案です。
- EAC が署名やドライバ整合性のチェックで弾かれる(会社ポリシーや企業端末)→ 管理者に制限解除を相談するか、企業ポリシーに従う。
- システム自体に深刻な破損がある場合→ Windows のリセットやクリーンインストールを検討する(データバックアップ必須)。
- ハードウェアの不具合(ディスク不良、メモリ異常)→ chkdsk やメモリ診断ツールでハードウェア検査を実施する。
トラブルシューティングの意思決定図
以下は、問題発生時の優先順位を示す簡単なフローチャートです。問題特定を加速します。
flowchart TD
A[ゲームが「Waiting for Game」で止まる] --> B{ランチャーはSteamかEpicか}
B --> |Steam| C[ゲームファイルの整合性を確認]
B --> |Epic| C
C --> D{問題解決?}
D --> |はい| E[ゲーム起動]
D --> |いいえ| F[EasyAntiCheat フォルダを削除]
F --> G[ゲームファイル検証で再ダウンロード]
G --> H{問題解決?}
H --> |はい| E
H --> |いいえ| I[EasyAntiCheat_EOS.sys を削除]
I --> J[再度起動]
J --> K{問題解決?}
K --> |はい| E
K --> |いいえ| L[SFC /scannow を実行]
L --> M{問題解決?}
M --> |はい| E
M --> |いいえ| N[追加対処(ドライバ更新・セーフモード・再インストール)]役割別チェックリスト
プレイヤー向け(短期対応)
- ゲームとランチャーを終了する
- ゲームファイル検証を実行する
- EAC フォルダを削除して検証を再実行する
- 管理者権限で再起動して確認する
IT 管理者向け(組織/検査)
- ポリシーやグループポリシーが EAC の実行を妨げていないか確認する
- エンドポイント保護製品のログを確認し、EAC に関するブロックを解除する
- システムファイル整合性(SFC/DISM)を実行する
- 必要なら Windows の復元ポイントやイメージからの修復を検討する
クリティカルな受け入れ基準
- ゲーム起動後、「Waiting for Game」メッセージが表示されずにメインメニューまたはロビーに進めること。
- Easy Anti-Cheat が正しくインストールされ、EAC のサービスやドライバがエラーを上げていないこと。
- 最低限、30分以上のプレイで同じ停止現象が再発しないこと(再現率が低い場合はログを収集)。
1行用語集
- EAC: Easy Anti-Cheat(オンラインゲームの不正対策)
- SFC: System File Checker(Windows のシステムファイル検査ツール)
- DISM: Deployment Image Servicing and Management(Windows イメージ修復ツール)
まとめ
Multiversus が「Waiting for Game」で止まる問題は、まずゲームファイルの整合性検証から着手し、次に Easy Anti-Cheat の再インストールや関連ファイル(EasyAntiCheat_EOS.sys)のリフレッシュ、最後に SFC を使ったシステムファイル検査へと段階的に進めるのが効率的です。多くの場合、これらの手順で復旧しますが、企業端末や深刻なシステム破損では追加の管理者対応やOSの修復が必要になることがあります。
重要: ドライバやシステムファイルに手を入れる操作はリスクを伴うため、操作前にバックアップや復元ポイントを作成してください。
要点まとめ:
- まずはゲームファイル検証を実施する
- EAC フォルダを削除して再検証する
- 必要なら EasyAntiCheat_EOS.sys を削除して再生成させる
- 最後に SFC /scannow を実行して Windows 側の問題をチェックする
これで問題が解決することを願っています。もし改善しない場合は、プレイ時のログやエラーメッセージを記録して、公式サポートやコミュニティに共有することで、より具体的な助言が得られる場合があります。