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Windows 11で「DNSサーバーが応答しない」エラーを解決する完全ガイド

2 min read Windows 更新されました 03 Oct 2025
Windows 11でDNSサーバーが応答しない時の対処法
Windows 11でDNSサーバーが応答しない時の対処法

サーバーのイーサネット接続ケーブルとポート

DNS(Domain Name System、ドメインネームシステム)は、インターネット上のコンピュータやサーバー、他のリソースを名前で識別する分散システムです。簡単に言えば、DNSはウェブサイトの名前(例: example.com)を、その背後にあるIPアドレスに変換して、ブラウザやアプリが目的のサーバーへ通信できるようにします。

このガイドでは、Windows 11で発生する「DNSサーバーが応答しない」エラーの原因と段階的な解決方法を、初心者にも分かるように平易な言葉で解説します。各手順にあるコマンドの意味、失敗する場合の対処、代替手段、管理者向け注意点まで含めます。

なぜこのエラーが起きるか(短い定義)

  • DNSサーバーが応答しない:PCが指定されたDNSサーバーへ問い合わせを送ったが、応答が返ってこない状態です。
  • 一行説明:接続自体の問題、ローカルの設定不具合、サードパーティのソフトウェア干渉、あるいはDNSプロバイダー側の障害が原因になります。

重要: まず最初に有線/無線の物理接続やルーター、モデム、プロバイダー側の障害情報を確認してください。ネットワークそのものが落ちている場合、DNSの修復を行っても無駄です。

目次

  • エラーの考えられる原因
  • すぐに試す基本手順(順序付き)
  • コマンドの意味と注意点
  • DNSを切り替える方法(複数の無料プロバイダー紹介)
  • ドライバーとWindowsの更新
  • セーフモードでの切り分け
  • 管理者・一般ユーザー別チェックリスト
  • トラブルシューティング決定木(Mermaid)
  • よくある質問(FAQ)
  • まとめ

エラーの考えられる主な原因

  1. ルーターやモデムの一時的な障害やインターネット回線の断絶。
  2. PCのDNSキャッシュやTCP/IPスタックの破損。
  3. サードパーティのセキュリティソフト(アンチウイルス、ファイアウォールなど)による通信のブロック。
  4. ネットワークアダプターのドライバーが古い、破損している。
  5. ISP(インターネットサービスプロバイダー)のDNSサーバーの不具合や該当DNSのフィルタリング。
  6. Windows側の設定ミス(手動で誤ったDNSが設定されている等)。

すぐに試す基本手順(推奨の実行順)

  1. 物理的接続とルーターの確認

    • 有線ならケーブルが抜けていないか、別ポートや別ケーブルで試す。
    • 無線なら別のWi-Fiに接続できるか試す(スマートフォンのテザリング等)。
    • ルーターの簡易再起動(電源を切り、約30秒待って再投入)を行う。
  2. インターネットサービスプロバイダー(ISP)側の障害確認

    • 他の端末(スマホや別PC)も同様の問題が起きているか確認する。
    • ISPのステータスページや障害情報を確認する。
  3. Windowsでの基本診断

    • 設定 > ネットワークとインターネット > 状態 から「ネットワークのトラブルシューティング」を実行する。ただしトラブルシューティングは原因特定の補助であり、すべてを解決するわけではありません。

ステップ: DNSキャッシュをフラッシュしてWinsockをリセットする(管理者権限が必要)

以下のコマンドを順に実行します。各コマンドはコマンドプロンプトに入力し、Enterキーで実行してください。

  1. 「ファイル名を指定して実行」でcmdを開く手順の例:

実行ダイアログでcmdを入力する様子

  1. コマンドプロンプトを管理者として開き、次を順に実行します(1行ずつ、Enter)。
ipconfig /flushdns
ipconfig /registerdns
ipconfig /release
ipconfig /renew
netsh winsock reset
  • コマンドプロンプトで ipconfig /flushdns を実行している画面
  • コマンドプロンプトで ipconfig /registerdns を実行している画面
  • コマンドプロンプトで ipconfig /release を実行している画面
  • コマンドプロンプトで ipconfig /renew を実行している画面
  • コマンドプロンプトで netsh winsock reset を実行している画面

これらは次のような意味があります:

  • ipconfig /flushdns:ローカルのDNSキャッシュを削除します。古い名前解決情報が原因の場合に有効です。
  • ipconfig /registerdns:コンピュータのDNS登録を再送信します(特に自ドメイン内の登録が必要な環境で有効)。
  • ipconfig /release と ipconfig /renew:DHCPで取得したIP情報を一旦破棄して再取得します。
  • netsh winsock reset:Winsockカタログをリセットし、ソケット層の設定を初期化します。ネットワーク通信ができない・名前解決が不安定な場合に有効です。

コマンド実行後はPCを再起動してください。再起動が解決策になることが多いです。

重要: 「ipconfig /release」を実行すると一時的にネットワーク接続が切れます。サーバーで実行する場合は業務影響を考慮してください。

DNSサーバーを手動で変更する(一般的な無料DNSプロバイダー)

プロバイダーのDNSが不安定な場合、GoogleやCloudflare、OpenDNSなどの公共DNSに切り替えることで問題が解消することがあります。代表的なDNS一覧:

  • Google Public DNS:8.8.8.8 / 8.8.4.4
  • Cloudflare:1.1.1.1 / 1.0.0.1
  • OpenDNS Home:208.67.222.222 / 208.67.220.220
  • Quad9:9.9.9.9 / 149.112.112.112
  • AdGuard DNS:94.140.14.14 / 94.140.15.15
  • AlternateDNS:76.76.19.19 / 76.223.122.150

どのDNSを使うかは、プライバシー、フィルタリング(広告やマルウェアブロック)、速度のどれを重視するかで選びます。たとえばプライバシー重視ならCloudflare、セキュリティフィルタを求めるならQuad9やAdGuardが適します。

Windows 11での変更手順(GUI)

  1. Windowsキー + I で「設定」を開く。
  2. 「ネットワークとインターネット」を選ぶ。
  3. 接続中のネットワーク(Wi-Fiやイーサネット)を選び、「プロパティ」または「ハードウェアのプロパティ」へ進む。
  4. DNSサーバーの割り当て(DNS server assignment)で「編集」をクリック。

Windows 11のDNSサーバー設定画面(DNSサーバーの割り当て)

  1. 「編集DNS設定」欄で「手動」を選択し、IPv4またはIPv6を有効にする。

DNS設定を手動に切り替えるドロップダウン

  1. IPv4/IPv6のスイッチをオンにして、優先DNSと代替DNSを入力する。

IPv4/IPv6の切り替えスイッチ

優先DNSと代替DNSを入力する欄

  1. 暗号化(DNS over HTTPSやDNS over TLS)のオプションがあれば選択し、「保存」をクリック。

DNS暗号化のオプション設定

変更後、ブラウザのキャッシュをクリアするか、ブラウザ再起動をしてから接続を確認してください。

注意: 企業や教育機関のネットワークでは、内部DNSを使用する必要があるため、勝手に公共DNSへ変更しないでください。管理者に確認してください。

ドライバーとWindowsの更新

古いネットワークドライバーや未適用のWindowsアップデートがネットワーク問題を引き起こすことがあります。

  1. Windowsキー + I で設定を開く。
  2. 「Windows Update」へ移動して「更新プログラムのチェック」を実行する。

Windowsの更新をチェックする画面

  1. 「デバイスマネージャー」からネットワークアダプターを開き、該当アダプターを右クリックして「ドライバーの更新」を選ぶ。自動検索か、メーカー提供の最新ドライバーをダウンロードして更新してください。

代替案: ドライバ更新ソフトを使うと手間は軽減できますが、信頼できるソフトを選んでください。会社システムではソフト導入ポリシーを必ず確認してください。

サードパーティのアンチウイルスを一時無効化またはアンインストール

サードパーティのセキュリティソフトがDNS問い合わせやネットワーク機能を遮断することがあります。トラブルを切り分けるために、一時的に無効化(可能ならアンインストール)して動作を確認してください。

重要: 無効化やアンインストールは自己責任で行い、インターネット接続時のセキュリティリスクに注意してください。代替としてMicrosoft Defenderを利用する方法があります。

セーフモードでの切り分け(ネットワークあり)

セーフモードでは最小限のドライバーとサービスだけが読み込まれ、サードパーティの干渉がない状態で接続を確認できます。

  1. スタートメニューの電源アイコンを開く。
  2. Shiftキーを押しながら「再起動」をクリック。
  3. 回復オプションで「トラブルシューティング」を選択。

回復オプションのトラブルシューティング画面

  1. 「詳細オプション」→「スタートアップ設定」へ進み、再起動。

回復オプションの詳細オプション画面

  1. 再起動後、キー 5 または F5 を押して「ネットワークを有効にしたセーフモード」で起動する。

スタートアップ設定画面

再起動を促す画面

ネットワーク有効のセーフモードで再起動するオプション

セーフモードで問題が解消する場合は、常駐するサードパーティアプリやサービスが原因の可能性が高いです。インストール済みアプリを一つずつ無効化/アンインストールして原因を特定してください。

代替アプローチと高度な手段

  • ルーターのDNSを変更する:家庭内のすべてのデバイスに反映されるため、個別設定より効果的な場合があります。
  • ブラウザごとのDNSキャッシュ(ブラウザ名による)をクリアする。
  • hostsファイルの設定を確認する(管理者権限が必要)。意図しない名前解決の上書きがないか確認。
  • ネットワークプロファイルを削除して再作成する(設定>ネットワークとインターネット)。
  • 企業ネットワークならグループポリシーやプロキシ設定の影響を確認。

いつこの方法では失敗するか(反例)

  • ISP側の広域障害が原因である場合、ローカルでできる操作は限られます。ISPの対応を待つ必要があります。
  • ルーターやモデム自体にハードウェア故障がある場合、端末側での設定変更だけでは直りません。
  • ネットワーク上の高度なミドルボックス(企業のセキュリティ装置)によって特定のDNSが強制されている場合、個々の端末設定は無効化されることがあります。

管理者・一般ユーザー別チェックリスト

  • 一般ユーザー(家庭用PC)チェックリスト:

    • ルーター再起動を試したか
    • 他端末も同様のエラーか確認したか
    • DNSキャッシュをフラッシュしたか
    • 一時的にアンチウイルスを無効化して確認したか
    • 公共DNSに切り替えて試したか
  • IT管理者チェックリスト:

    • DHCPとDNSサーバーの状態を確認したか
    • DNSサーバーのログにエラーがないか確認したか
    • ネットワークACLやFWルールでDNSポート(UDP/TCP 53)が遮断されていないか確認したか
    • DHCPオプションで誤ったDNSが配布されていないか確認したか
    • グループポリシーや構成管理(Intuneなど)でDNS設定が強制されていないか確認したか

トラブルシューティングの決定木(概略)

以下は簡略化した診断フローです。問題の切り分けに使ってください。

flowchart TD
  A[インターネットに接続できない] --> B{他の端末はOKか}
  B -- はい --> C[PCを対象に切り分け]
  B -- いいえ --> D[ルーター・ISPの問題を疑う]
  C --> E{セーフモードで接続できるか}
  E -- はい --> F[常駐アプリ(アンチウイルス等)を疑う]
  E -- いいえ --> G[ドライバー・DNS設定を疑う]
  G --> H[DNSキャッシュをフラッシュとWinsockリセット]
  H --> I{改善したか}
  I -- はい --> J[監視]
  I -- いいえ --> K[DNSを公共DNSに変更]
  K --> L{改善したか}
  L -- はい --> M[ISPのDNSに問題がある可能性]
  L -- いいえ --> N[ハードウェア故障や高度なネットワーク調査]

簡易SOP(迅速対応手順) — 1分で試せる順

  1. ルーター電源を30秒切って再投入。
  2. 別端末で同じサイトにアクセスして確認。
  3. 管理者コマンド(1行ずつ)を実行:
ipconfig /flushdns
netsh winsock reset
  1. PC再起動。改善しなければDNSを1.1.1.1(Cloudflare)に切替え。

よくある質問(FAQ)

Q: ipconfig /flushdns を実行しても効果がない場合は?

A: ローカルキャッシュ以外に原因があるため、次はDNSサーバーの変更、Winsockリセット、セーフモードでの確認を試してください。

Q: 公共DNSに変えるとプライバシーはどうなる?

A: 各プロバイダーはログの保持や利用目的が異なります。プライバシー重視なら各サービスのプライバシーポリシーを確認してください(例:Cloudflareはログ保持を短期にする方針を掲げていますが、常に利用規約を確認すること)。

Q: 企業ネットワークでは勝手に変更していい?

A: いいえ。企業ネットワークでは内部DNSやプロキシが必要な場合があり、勝手な変更は業務に影響します。必ずIT管理者に相談してください。

Q: DNS over HTTPS(DoH)は有効にすべき?

A: DoHは名前解決の暗号化により盗聴を防ぐ利点がありますが、企業環境ではトラブルの原因になることもあります。利点と運用ポリシーを比較して決めてください。

まとめ

「DNSサーバーが応答しない」エラーは多くの場合、ネットワーク接続の基本チェックとDNSキャッシュのリフレッシュ、公共DNSへの切替えで解決します。セーフモードでの切り分けによりサードパーティソフトの影響を特定できることが多く、管理者側ではDHCP/DNSの配布設定やネットワーク機器のログ確認が重要です。

重要: 企業・業務環境では勝手な操作は避け、事前に影響範囲を確認してから実行してください。

要点まとめ:

  • まず物理接続とISPの状態を確認する。
  • 次にDNSキャッシュのフラッシュとWinsockリセットを試す。
  • 公共DNSに一時的に切り替えて挙動を確認する。
  • セーフモードで原因を切り分け、必要ならドライバーやソフトを見直す。

この記事のチェックリストや決定木を参考に、安全に順を追ってトラブルシュートしてください。問題が継続する場合は、ネットワーク管理者またはISPのサポートに連絡してください。

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