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ChromebookでRAW写真を編集する方法:Darktableでオフライン編集

1 min read 写真編集 更新されました 22 Sep 2025
ChromebookでRAW写真を編集する方法(Darktable)
ChromebookでRAW写真を編集する方法(Darktable)

Nikon z7がSLIK三脚に載っている写真。

概要

ChromebookでRAW写真を編集するには、ネイティブのオフラインRAW編集アプリがほとんど存在しないため、Linux環境を有効にしてLinux用アプリを使うのが現実的な方法です。Adobe LightroomモバイルはRAW編集をサポートしますが、Creative Cloudの有料サブスクリプションが必要になり、オフラインでの挙動も不安定な場合があります。代替として、Darktableは無料で高機能なRAW現像ソフトであり、Chromebook上のLinuxで動作します。

重要: この記事はChromebookにLinux(Crostini)を導入してFlathub経由でDarktableをインストールする手順と、現場で使うための運用・トラブルシューティングをまとめた実用ガイドです。

主要なポイント

  • Linuxを有効にすることでChromebookでもデスクトップ級のRAW編集が可能になる。
  • Darktableは非破壊編集(サイドカーファイル)を採用し、元ファイルを損なわない。
  • ストレージとCPU/RAMがボトルネックになりやすい。高解像度RAWはより多くのリソースを消費する。

なぜLinuxが必要なのか

ChromeOSには高機能なオフラインRAW現像アプリがほとんど存在しません。結果としてChromebook上で本格的にRAWを扱うには、Linuxアプリ(ネイティブのデスクトップアプリ)に頼るのがもっとも確実です。Linux環境を有効にすると、FlathubやAPTなど経路を通じてDarktableのような成熟したソフトをインストールできます。

用語(1行定義): RAW = カメラが記録した生データ。JPEGより情報量が多く、色や露出の調整で有利。

Linuxを有効にする

ChromebookでLinuxを有効にする手順は簡単です。手順は機種やChromeOSのバージョンで若干差がありますが、基本は次の通りです。

  1. 設定を開く(設定 > ChromeOS について)。
  2. 「Linux 開発環境(Beta)」または「Linux のセットアップ」の横にある「セットアップ」ボタンをクリックする。
  3. ストレージ割り当て(例: デフォルトは10GB)を指定してセットアップを完了する。

ChromeOSの「ChromeOSについて」ページにあるLinux開発者向けのセットアップボタンが表示された画面。

注意: 大きな画像ライブラリを扱う予定がある場合、デフォルトの10GBでは不足することが多いです。少なくとも20GB〜30GBに拡張することを検討してください。

Flathubの設定とDarktableのインストール

DarktableはFlatpakパッケージとしてFlathubに公開されています。Flathubを有効にしてから次のコマンドをLinuxターミナルで実行します。

flatpak install flathub org.darktable.Darktable

インストール後、Launcher(アプリ一覧)からDarktableを起動でき、タスクバーにピン留めすることも可能です。

インストール時のよくある問題と対処法:

  • エラー: flatpakコマンドが見つからない → Linux環境の初期セットアップが正しく完了しているか再確認。場合によってはパッケージの更新(sudo apt update && sudo apt upgrade)後にflatpakをインストールする必要があります。
  • 権限エラーでアプリアイコンが表示されない → 再ログイン、またはChromeOSを再起動してアプリキャッシュを更新します。

写真フォルダをLinuxと共有する

Darktableで写真を開けるように、ChromeOSの「ファイル」アプリからRAW写真が入ったフォルダをLinuxと共有します。

手順: ファイルアプリで目的のフォルダを右クリックし、「Linuxと共有」を選択します。外付けドライブを使う場合も同様に共有可能です。私は作業時にドライブ全体を共有することが多く、ファイルアクセスの手間を減らしています。

重要: 共有したパスはLinux側で/mnt/chromeos/…のようにマウントされることが多いので、Darktableでフォルダをインポートする際はそのパスを指定してください。

DarktableがChromebookにもたらす機能

Darktableはプロ向けのRAW現像機能を備え、以下の特徴があります。

  • 非破壊編集:編集情報はサイドカーファイル(XMPなど)に保存され、元RAWは変更されない。
  • 多彩なモジュール:露出、カラー、トーンカーブ、ノイズ除去、レンズ補正、ローカル補正など主要ツールを網羅。
  • コレクション(カタログ)管理:Lightroomのコレクションに似た管理が可能。

Darktableは高機能ですが学習曲線があります。Lightroomに慣れたユーザーはモジュール名やUIに戸惑うことがあるため、最初は基本ワークフローだけ押さえると良いです。

基本的なRAW編集ワークフロー(ミニメソッド)

  1. ライブラリに写真をインポートし、選別(セレクト)を行う。
  2. ベーシックな露出・ホワイトバランス補正を行い、ヒストグラムを確認する。
  3. ノイズリダクションとシャープネスを適用する。
  4. ローカル補正(ブラシやマスク)で細部を調整する。
  5. カラーマネジメント(出力プロファイル)を確認して書き出す。
  6. サイドカーファイルをバックアップしてワークフローを完了する。

パフォーマンスと互換性

Chromebookのスペックによって快適さは大きく変わります。Chromebook Plusラインは最低要件として第11世代相当のCore i3と8GB RAMを想定していますが、RAW現像では以下が目安です。

  • 軽い作業(JPEGや低メガピクセルRAW): 4〜8GB RAMで可。
  • 通常のRAW(24〜30MP): 8GB以上、できればCPUは4コア以上が望ましい。
  • 高解像度RAW(40MP以上)やバッチ処理: 16GB以上を推奨。

実際の体験: Sony A7IIIの非圧縮RAWをChromebookで編集した際は、ややラグがあるものの実用的でした。高画素機(例: A7Rシリーズ)ではさらに処理負荷が上がり、遅延が顕著になる可能性があります。

いつDarktableで失敗しやすいか(反例)

  • ストレージが不足している場合:サイドカーやキャッシュでさらに容量を消費するため、予め大きめの割当てが必要です。
  • 古いCPU / 低RAMのChromebook:スワップが多発し、編集が実用的でなくなる。
  • GPUアクセラレーションに依存するフィルターがある場合、ドライバやサポート状況で性能差が出る。
graph TD
  A[どの機器で編集したい?] --> B{Chromebookのみで編集する}
  B -- はい --> C{Linuxを有効にできるか}
  C -- はい --> D[Darktableを導入]
  C -- いいえ --> E[クラウドベースのサービスを検討]
  B -- いいえ --> F[PCやMacでLightroom/他ソフトを使用]

トラブルシューティングとヒント

  • 起動しない/クラッシュする: Flatpak版に問題が出る場合、ログ(journalctlや~/.var/log)を確認。必要であればFlatpakを更新(flatpak update)します。
  • ファイルが見つからない: ChromeOS側でフォルダを共有したか、共有先のマウントパスを確認してください。
  • スワップ多発で遅い: Linuxのスワップ設定を見直すか、不要なバックグラウンドプロセスを停止します。

注意: Chromebookのセキュリティモデル上、一部ハードウェアアクセラレーションやカーネルモジュールが制限される場合があります。GPUを利用した高速化が期待通り動作しないことがあります。

受け入れ基準(テストケース)

  • Darktableをインストールして起動できること。
  • 共有したRAWフォルダから写真を読み込み、1枚以上のファイルを編集して書き出せること。
  • 編集は非破壊で、元RAWファイルが残っていること。
  • 20〜30枚の24MP RAWを読み込み、簡単な補正が実用的に行えること(大幅なフリーズやクラッシュがない)。

役割別チェックリスト

  • フィールドで撮るフォトグラファー: バッテリー、外付けSSD、最低8GB RAMのChromebook、予備ストレージ。
  • スタジオワーカー: 高解像度RAWは外出先で行わずデスクトップで処理。
  • 旅行者: 16GB以上のストレージ割当て、カメラカードのバックアップ計画。

移行と互換性のヒント

  • 将来的にLightroomに移行する可能性がある場合、XMPサイドカーを使ってメタ情報を保存しておくと互換性を保ちやすいです。
  • Darktableのプロファイルやプリセットはエクスポートしておくと別環境で再利用できます。

まとめ

ChromebookでRAW現像をする最も現実的な方法は、Linuxを有効にしてDarktableを利用することです。必要なストレージと適切なスペックを用意すれば、外出先でも本格的な非破壊編集が可能になります。Lightroomモバイルはサブスクが必要でオフライン挙動に癖があるため、オフライン第一で考えるならDarktableは強力な選択肢です。

暗い渓谷をDarktableで編集している画面のスクリーンショット。

Darktableのロゴ画像

要点まとめ:

  • Linuxを有効にしてFlathubからDarktableをインストールする。
  • 写真フォルダをLinuxと共有し、サイドカーを利用して非破壊編集を行う。
  • ストレージとRAMは多めに確保すること。

1行用語集

  • Darktable: オープンソースのRAW現像ソフト。
  • Flatpak/Flathub: Linuxアプリ配布の仕組みとリポジトリ。
  • サイドカー: 編集情報を保存する別ファイル(元RAWは無傷)。

まとめの一言: ChromebookはLinuxを活用すれば軽量で持ち運びやすい現像環境になり得ます。Darktableはその中心的なツールです。

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