テクノロジーガイド

Glyphrで独自フォントを作り、LibreOfficeに追加する方法

2 min read チュートリアル 更新されました 07 Oct 2025
Glyphrでフォントを作成してLibreOfficeに追加する方法
Glyphrでフォントを作成してLibreOfficeに追加する方法

重要: Glyphrはまだ開発段階のため、複雑な商用フォント制作には別の専用ツールも検討してください。短いプロジェクトや学習目的、プロトタイピングに最適です。

目的と想定読者

このガイドは、 Glyphr Studio Desktop を使って自作フォントを作成し、書き出してLibreOfficeで利用するまでの一連の手順を、初心者にもわかりやすく説明します。想定読者は次のとおりです。

  • フォント制作を試してみたいクリエイター
  • LibreOfficeで独自書体を使いたい一般ユーザー
  • オープンソースのフォントツールを評価したい技術者

主なポイント(SEOの意図)

  • 主目的: Glyphrでフォントを作る方法を学ぶ
  • 関連バリエーション: フォント作成手順、Glyphrチュートリアル、LibreOffice フォント追加、TrueType 出力、SVG フォント

1. Glyphr を入手する

公式リポジトリ: https://github.com/glyphr-studio/Glyphr-Studio-Desktop

  1. 上記リポジトリからバイナリ(32bit/64bit)をダウンロードします。
  2. ダウンロードしたZIPを解凍し、生成されたフォルダに入り、”Glyphr Studio” バイナリを右クリックして「実行」を選択します。

Glyphr 起動オプション画面

2. 新規フォントセットを作る

アプリを起動すると選択肢が出ます。

  • 新しいフォントセットを一から作成
  • 既存プロジェクト(Glyphrプロジェクト、Open/TrueType、SVGフォント)を読み込む
  • サンプルセットを読み込んで編集

ここでは「新規作成」を選び、基本的な編集機能を確認します。

プロジェクト選択画面

3. エディタの基本 — 文字を選んで描く

左ペインで編集したい文字を選びます。右側の描画エリアで作業します。まずは「A」など単一文字から始めるのが学習に適しています。

文字選択と描画エリア

形を作るツール

  • Shapes(長方形、楕円、パス)ツールで基本形を置く
  • Path(パス)ツールで点を打ち、ベジェ曲線を作成する
  • Path Edit(パス編集)でノードをドラッグして輪郭を調整する
  • Shape Edit(形状編集)でオブジェクトを移動・拡大縮小・回転

シェイプ・パスツール

ノードを増やすほど細かい形状制御が可能です。曲線やハンドルの扱いに慣れると、滑らかな字形を作れます。

パス編集でノードを調整

形状編集で回転・変形

4. コピー・反転・整列で効率化する

左右対称や上下対称が多い文字(例: B の上下)では、パーツをコピーして反転することで作業を短縮できます。

  1. 反転したいパーツを選択
  2. コピー → ペースト
  3. ペーストしたパーツを移動
  4. 水平方向/垂直方向に反転

コピー・反転で整える

コピーして貼り付け、反転

反転結果の調整

5. 文字間や合字、その他のフォント設定

フォントは単体の字形だけでなく、文字同士の組み合わせ(カーニング)や合字(ligature)、コンポーネント再利用、全体のフォントメトリクスも重要です。メニューの「Navigate」から次の操作ができます。

  • 特定ペアのカーニングを調整
  • 合字を定義
  • コンポーネントを追加して再利用
  • フォント全体の設定(基本ライン、アセンブリ)

カーニングと合字編集画面

テスト用に試し打ちする「test drive」機能で、設定の効果を素早く確認できます。

フォントのテスト表示

6. 書き出し(エクスポート)

作成が落ち着いたら、フォントを出力します。Glyphrは一般的に次の形式で書き出せます。

  • TrueType(*.ttf)
  • SVGフォント(*.svg)

エクスポート画面

書き出したファイルを保存してください。

7. フォントをシステムに追加してLibreOfficeで使う

書き出したフォントをシステムに追加する一般的な手順は次の通りです。

手順A(ユーザー単位):

  1. フォントビューアでフォントファイルを開く
  2. 「Install」ボタンがあればクリックしてインストール

手順B(ホームフォルダ経由):

  1. ホームディレクトリに .fonts フォルダを作成(隠しフォルダ)
  2. 書き出した .ttf または .svg を .fonts にコピー

手順C(システム全体):

  1. ファイルマネージャを root で開く
  2. /usr/share/fonts/opentype に新しいフォルダを作る
  3. フォントファイルをそのフォルダにペースト

最後にフォントキャッシュをクリアします。

sudo fc-cache -f -v

これでLibreOfficeやGeditなど、システム内のテキストアプリケーションから新しいフォントが選べるようになります。

インストール後にLibreOfficeで表示されるカスタムフォント


トラブルシューティング(よくある問題と対処法)

  • フォントがLibreOfficeに表示されない

    • fc-cache を実行しましたか? sudo で実行してください。
    • ファイル形式はサポートされていますか?(推奨: .ttf)
    • コピー先の権限が正しいか確認してください(rootで作業した場合は所有者にも注意)。
  • 文字が欠ける / 望ましくない合字が出る

    • Glyphrの合字設定やカーニングペアを確認し、不要なルールを削除してください。
  • Glyphrでクラッシュや保存できない

    • 開発段階の機能不安定が原因のことがあります。定期的にバックアップ(エクスポート)してください。

互換性と制限

  • Glyphrは学習や小規模作業に最適ですが、OpenTypeの高度な機能(複雑なGSUB/GPOSスクリプトや高度な言語機能)は他の専門ツールに比べ制限があります。
  • 商用配布やライセンス管理が必要な場合は、フォントライセンスの確認を行ってください。

役割別チェックリスト

デザイナー:

  • 主要な字形をまずデザイン(A, H, n など)
  • ノードとハンドルの整合性を確認
  • 合字・カーニングの最小セットを設定
  • テスト用文章で全体を確認

ユーザー(インストール担当):

  • フォントを .ttf で書き出す
  • .fonts または /usr/share/fonts/opentype に配置
  • sudo fc-cache -f -v を実行
  • LibreOfficeを再起動して表示を確認

管理者:

  • システムフォントディレクトリへの権限を適切に管理
  • ユーザー影響を避けるためテスト環境で導入を検証

ミニ・メソドロジー(効率よくフォントを作る順序)

  1. リファレンス文字(H, O, n)で基本プロポーションを決める
  2. ベースライン・x高を設定してメトリクスを固定
  3. 主要字形を描き、対称性ある部分はコピー&反転で作成
  4. カーニングを重要なペアから調整
  5. 合字やコンポーネントを設定
  6. テストドライブで印字確認→修正→再書き出し

受け入れ基準

  • 主要ラテン文字(A–Z、a–z)が一貫したプロポーションで描けている
  • 代表的なカーニングペア(AV、To、Wa など)で視認性が良い
  • LibreOfficeでフォントが選択可能かつ文書に正しく適用される

1行用語集

  • カーニング: 文字ペア間のスペース調整
  • 合字(ligature): 複数の文字を一つの字形に置き換える仕組み
  • メトリクス: ベースラインやアセンダー等、文字全体の寸法定義

追加のヒントと代替手段

  • 高度なOpenType機能が必要なら FontLab や Glyphs、ROSETTA Lab のような商用ツールを検討してください。
  • コーディングでの利用やウェブフォント化は、生成した.ttf を woff/woff2 に変換してからCDNや@font-faceで配信します。
  • すぐ試したい場合は、既存のオープンソースフォントをベースに改変するのが効率的です(ライセンス要確認)。

要約

  • Glyphrは直感的なUIでフォント制作を始められるオープンソースツールです。
  • ベーシックな字形作成、パス編集、合字・カーニング設定、書き出しをサポートします。
  • 出力したフォントは .fonts か /usr/share/fonts に配置し、sudo fc-cache -f -v を実行すればLibreOfficeで使えます。

重要: 商用展開や高度なスクリプト対応が必要な場合は、より高機能なツールとライセンス確認を忘れないでください。

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