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Windows 10/11でスクロールバーの幅と高さをカスタマイズする方法

2 min read Windows 更新されました 08 Oct 2025
Windowsでスクロールバーを常に広く・カスタマイズする方法
Windowsでスクロールバーを常に広く・カスタマイズする方法

ラップトップ画面に表示されたMUOのウェブサイトとカスタム幅のスクロールバー

Windowsの新しいバージョンはUIの見た目や操作性を更新しますが、デフォルトのスクロールバーが細すぎて操作しづらいことがあります。特にタッチ対応PCや高DPIディスプレイでは視認性や操作性の低下を感じることが多いです。

この記事では、Windows 10とWindows 11でスクロールバーを常に幅広に表示する方法、レジストリを使って幅・高さを任意のサイズに調整する方法、失敗したときの戻し方や管理者向けのチェックリストなど、実務ですぐ使える手順と注意点を日本語で詳しく解説します。

Windows 10の設定で常に幅の広いスクロールバーを表示する方法

問題の多くは、設定アプリや一部のUIペインでスクロールバーが自動的に細く・非表示になるところにあります。これを常に標準(広め)スクロールバーにするには設定で1箇所を切り替えるだけです。

手順:

  • キーボードで Win + I を同時に押して 設定 を開きます。
  • 簡単操作」を選択します(Windowsのバージョンによっては「アクセシビリティ」と表記されます)。
  • 開いたページで下にスクロールし、Windows を簡素化しパーソナライズ(英語表記: Simplify and personalize Windows)を探します。

代替方法: 設定の検索バーに「scrollbar」または「スクロールバー」と入力し、検索結果の「Windowsでスクロールバーを自動的に非表示にする」をクリック/タップします。

該当ページで「Windowsでスクロールバーを自動的に非表示にする」が既定でオンになっている場合はオフに切り替えます。オフにすると、設定アプリ内で常に標準の幅のスクロールバーが表示されます。

Windows10設定で常に表示に設定された幅広スクロールバーのトグル

ポイント: この切り替えは設定アプリやMicrosoft Storeのアプリに適用され、これらのUI内でスクロールバーが見えやすくなります。ただし、すべてのアプリがこの設定に従うわけではなく、カスタム描画されたアプリや一部のUWP/WinUIアプリは別途対応が必要です。

スクロールバーのサイズをレジストリで変更する基本概念

用語(1行定義):

  • ScrollHeight: 垂直スクロールバーの高さに相当するシステムメトリック(ピクセル倍率で設定)。
  • ScrollWidth: 水平スクロールバーや垂直スクロールバーの幅に相当するシステムメトリック。

Windowsではスクロールバーのサイズはシステムメトリックとして管理され、レジストリのキー値で制御できます。設定変更は管理者権限が必要で、誤った編集はUI表示に不具合を起こす可能性があります。必ず復元ポイントを作成するか、レジストリのバックアップを取ってから操作してください。

注意: 設定アプリやMicrosoft Store向けに上で説明した「自動的に非表示にする」の切り替えを行っていないと、いくらレジストリを変えても一部アプリで期待した挙動にならないことがあります。

レジストリを編集してスクロールバーのサイズを変更する安全手順

まずは安全対策:

  • システムの復元ポイントを作成してください。スタートメニューで「復元ポイントの作成」と入力してウィザードに従います。
  • 必要ならレジストリ全体や該当キーのバックアップを取りましょう。レジストリエディターでキーを右クリックして「エクスポート」を選べます。

手順:

  1. Win + R を押して「ファイル名を指定して実行」ダイアログを開きます。
  2. ボックスに regedit と入力し OK をクリックします。
  3. ユーザーアカウント制御(UAC)のプロンプトが出たら はい を選択してレジストリエディターを開きます。

代替: コマンドプロンプトを管理者権限で開き、regedit.exe と入力して起動することもできます。

レジストリ内で次のキーに移動します(パス全体をコピーしてレジストリエディターのアドレス欄に貼り付けると早いです):

HKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Desktop\WindowMetrics

右ペインに以下の値が表示されます: ScrollHeightScrollWidth

  • ScrollHeight をダブルクリックすると編集ウィンドウが開きます。既定値は -255(標準サイズ)です。
  • 値の範囲は概ね -120(小さい)〜 -1500(大きい)で入力します。数値は負の数で指定します。

スクロールバーの高さをピクセルで指定する計算式は次のとおりです: -15 × (希望するピクセル数)。 例: -15 × 17 = -255(既定)

例えば幅を2倍にしたいときは -500 を試すと、目安として標準よりほぼ2倍の太さになります。

レジストリエディターでScrollHeightの編集ウィンドウを開いた状態

編集後は OK を押して変更を保存します。同様に ScrollWidth をダブルクリックし、同じ計算式(-15 × ピクセル数)で幅を設定します。既定は -255 です。

レジストリエディターでScrollWidthの編集ウィンドウを開いた状態

変更を反映させるためにはログオフして再ログインするか、PCを再起動してください。変更が適用されると、対応するアプリでスクロールバーの幅や高さが変化しているはずです。

変更後に期待できる表示例

  • エクスプローラーのスクロールバーが太くなるとファイルやフォルダの一覧でつまみが掴みやすくなります。

エクスプローラーで幅の広いスクロールバーが表示されたウィンドウ

  • ChromeやEdgeのようなブラウザーでも、標準的なページスクロールバーが太く表示される場合があります(アプリによっては独自描画のため変化しないこともあります)。

Chromeで幅広のスクロールバーが表示される検索結果ページ

Edgeブラウザーで幅と高さの両方が反映されたスクロールバー

Word文書で幅と高さが変わったスクロールバー表示

元に戻す方法とトラブル時の対処手順

最も簡単に元に戻す方法は、編集前に控えた値やエクスポートしておいたレジストリのバックアップを使うことです。値を既定に戻すには次のいずれかを実行します:

  • ScrollHeightScrollWidth を再度開き、値を -255 に戻す。
  • 変更前にエクスポートした .reg ファイルをダブルクリックしてインポートする。
  • システム復元ポイントを作成していた場合は、復元を実行して変更前の状態に戻す。

問題が発生したときのチェックリスト:

  • レジストリの値が正しく保存されているか確認する。
  • ログオフしてから再ログイン、またはシステムを再起動しているか確認する。
  • 変更した値が極端に小さすぎたり大きすぎたりしないか確認する(視認できなくなる、UIが崩れるなどの副作用)。
  • 特定のアプリだけ反映されない場合、そのアプリが独自の描画を行っている可能性を疑う。

いつこの方法が機能しないか(失敗例と回避策)

  • UWP/WinUIや一部のストアアプリはアプリ側で独自のスクロールバーを描画するため、レジストリ値を変更しても見た目が変わらない場合があります。
  • ブラウザーの拡張機能やカスタムテーマを使っていると、ブラウザー内のスクロールバー表示が上書きされることがあります。
  • 高DPI環境やスケーリング設定が極端な値(例: 200%以上)に設定されていると、期待した通りのピクセル比にならないことがあります。

回避策:

  • ブラウザーやアプリ側の設定や拡張を確認し、必要なら一時的に無効化して動作を確認する。
  • 別の値で試して最適なピクセル数を調整する。-15倍の式を理解しておくと微調整が容易です。

代替アプローチとツール

  • サードパーティのテーマ/スキンアプリ: Windowsの外観を大きく変えるツール(例: 古典的なスキンエンジンやカスタムテーマ適用ツール)を使えばスクロールバーの見た目を直接変更できる場合がありますが、システムの安定性やセキュリティリスクを伴うことがあります。
  • ブラウザー内のカスタムCSS: ChromeやFirefoxではユーザーCSSを使ってスクロールバーをカスタマイズできます(開発者向け)。ただしブラウザー外のアプリには影響しません。
  • アクセシビリティ機能の活用: 一部の支援技術ではスクロール操作を補助する機能があり、視認性より操作性を優先したい場合は検討に値します。

管理者・ヘルプデスク向けチェックリスト

管理者が複数台に展開する場合の推奨手順:

  • 影響範囲の評価: どのアプリが対象か、UWP/WinUI等は除外されるか確認する。
  • テスト機: 代表機で複数の値をテストし、承認済みの設定を決める。
  • 展開方法: グループポリシーやスクリプトでレジストリを配布する場合は、まず少数のテストユーザーで検証する。
  • ロールバック計画: 既定値を自動で復元するスクリプト、または復元ポイント作成の手順を配備する。

簡易プレイブック (1ユーザー向け):

  1. 復元ポイント作成。
  2. レジストリをエクスポートしてバックアップ。
  3. ScrollHeight/ScrollWidthを変更。
  4. ログオフ→ログインまたは再起動。
  5. 表示確認。問題あればバックアップから復元。

テストケースと受け入れ基準

  • テスト1: エクスプローラーでスクロールバーの幅が視覚的に太くなり、つまみを掴みやすくなる。
  • テスト2: Chromeでスクロールバーが変化する(利用しているテーマや拡張によってはNG)。
  • テスト3: 設定アプリやMicrosoft Storeで常にスクロールバーが表示される(前述の設定をオフにしていること)。

受け入れ基準:

  • 少なくとも標準アプリ(エクスプローラー、Officeなど)で変更が確認できる。
  • UIが崩れないこと。極端な数値で画面が操作不能にならないこと。

マインドセットとヒューリスティック(判断基準)

  • まずは視認性を優先する: 画面を見てスクロール位置が一目でわかることが重要。
  • 極端な値は避ける: 小さすぎるとクリックできない、巨大すぎると画面スペースを浪費する。
  • アプリごとに挙動が異なることを前提にする。

互換性とバージョン注意点

  • Windows 10 と Windows 11 の多くの内部メトリックは共通ですが、UIフレームワーク(Win32 vs UWP/WinUI)の違いで挙動が分かれます。
  • 今後のOSアップデートでレジストリキーの扱いが変更される可能性があるため、大規模な配布前に定期的な検証が必要です。

簡易トラブルシュートフロー

flowchart TD
  A[スクロールバーを変更したい] --> B{設定アプリの自動非表示はオフか}
  B -- Yes --> C[レジストリでScrollWidth/ScrollHeightを変更]
  B -- No --> D[まず設定アプリ側の自動非表示をオフにする]
  C --> E[再起動/ログオフして確認]
  E --> F{期待通り表示されたか}
  F -- Yes --> G[完了]
  F -- No --> H[アプリが独自描画か確認。エクスポートから復元検討]
  D --> C

1行用語集

  • レジストリ: Windowsのシステム設定を保持する階層型データベース。
  • UWP: Windows用のモダンアプリフレームワーク。独自描画が多い。
  • DPI: 画面の密度。高DPIでは表示スケールが影響する。

セキュリティとプライバシーに関する注意

  • レジストリ編集は管理者権限が必要です。信頼できる手順以外の編集は行わないでください。
  • 本操作で個人データが外部に送信されることはありませんが、誤った編集でシステム不調が起きた場合の対処を事前に用意してください(復元ポイント、レジストリバックアップ)。

まとめ

  • 設定アプリの「Windowsでスクロールバーを自動的に非表示にする」をオフにすれば、設定やストアアプリ内のスクロールバーを常に表示できます。
  • ScrollWidth と ScrollHeight をレジストリで編集すると、スクロールバーの幅と高さを細かく調整できます。式は -15 × ピクセル数です。
  • 操作前に復元ポイントやレジストリのバックアップを取り、ログオフ/再起動で変更を適用してください。

重要: レジストリの変更は慎重に行ってください。特に管理者が多数のPCに展開する場合は事前にテストを行って運用手順を整備してください。

短いお知らせ(社内向け):

スクロールバーが細くて操作しづらい場合、社内標準の手順に従ってスクロールバー幅を調整することが可能です。管理者はテスト機で値を決めてから配布してください。

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