OutlookのQuick Partsを作成・共有・削除・エクスポートする方法

概要: OutlookのQuick Partsは、Office 2007以降にある定型コンテンツ保存機能です。テキストだけでなく、書式、画像、リンク、テーブルなどを丸ごと保存して再利用できます。メール、連絡先、予定、タスクの作成時に同じ手順で使用できます。
重要: Quick PartsとAutoTextは似ていますが、Quick Partsのほうが柔軟で機能が豊富です。365や2019/2016/2013/2010/2007などのOutlookで動作します。
作成、共有、削除、エクスポートの全体像
このガイドでは次の操作をカバーします。
- Quick Partsの作成
- Quick Partsの共有(テンプレート経由)
- Quick Partsの削除
- Quick Partsのエクスポートと移行
各手順は短く、実務で使えるチェックリストやトラブルシューティング、管理者向けの補足を追加しています。
1. Quick Partsを作成する手順
手順(最短フロー):
- 新規メールを作成し、Quick Partにしたい本文を入力します。書式、画像、リンク、テーブルなど、保存したい全要素を含めます。
- 保存したい範囲を選択してハイライトします(書式ごと保存されます)。
- 挿入タブに移動します。
- テキストグループ内の「Quick Parts」をクリックします。
- 「選択範囲をQuick Partsギャラリーに保存」を選択します。
- 「新しいビルディングブロックの作成」ダイアログで名前、ギャラリー、カテゴリ、説明を入力します。分かりやすい名前とカテゴリ(例: 顧客対応、署名、契約テンプレ)を付けておくと検索が楽になります。
- 「OK」をクリックして保存します。
- 保存後は任意のメール作成画面でQuick Partsから選んで挿入できます。
ヒント: 名前は短く一意に。カテゴリを運用ルールとして決めるとチームで共有する際に混乱が少なくなります。
2. Quick Partsを共有する方法
ポイント: Quick Partsのエントリは通常、NormalEmail.dotmやNormal.dotmなどのテンプレートファイルに保存されます。これらは直接共有することを目的としていないため、複数のエントリを他者と共有したい場合は専用テンプレートを作成するのが安全です。
共有手順(推奨):
- Outlookで新しいメールまたはWordで新しいテンプレート(.dotx または .dotm)を作成します。
- 共有したいQuick Partsをそのテンプレート内で作成または挿入して保存します。.dotxにすることでマクロを含まず安全に共有できます。
- そのテンプレートファイルを社内ファイル共有、OneDrive、SharePoint、または添付で配布します。
- 受信者はテンプレートを自分のTemplatesフォルダにコピーするか、テンプレートを開いてQuick Partsを自身のNormalEmail.dotmへコピーします。
注意: 受信者側のOutlookバージョンやテンプレート配置場所によって動作が変わる場合があります。後述の移行と互換性セクションを参照してください。
3. Quick Partsを削除する手順
- Quick Partを含むテンプレート(通常はNormalEmail.dotm)を開きます。
- 挿入タブに移動します。
- テキストグループのQuick Partsをクリックします。
- 削除したいエントリを右クリックして「整理と削除」を選択します。
- 削除するエントリを選択し、「削除」ボタンをクリックします。
- 確認メッセージが出たら「はい」をクリックして削除を確定します。
注意: 一度削除すると、テンプレートを配布していてもそのギャラリーからは消えますが、テンプレート内に同じコンテンツが残っている場合は見かけ上のコンテンツは残ることがあります。削除する際はテンプレート自体も確認してください。
4. Quick Partsをエクスポートまたはバックアップする手順
- エクスプローラーを開きます。
- アドレスバーに次を入力してEnterキーを押します: %APPDATA%\Microsoft\Templates
- フォルダ内に NormalEmail.dotm と Normal.dotm が表示されます。
- これらのファイルをコピーして、バックアップ先(別フォルダ、USB、クラウドストレージ)に貼り付けます。
備考: バックアップしたファイルを別のPCで使う場合は同じフォルダに上書きコピーするか、テンプレートを開いてQuick Partsを新しいNormalEmail.dotmへ手動で移動してください。
トラブルシューティングとよくある失敗例
- Quick Partsが表示されない: 使用中のOutlookプロファイルが別テンプレートを参照している可能性があります。%APPDATA%\Microsoft\Templates を確認してください。
- 共有しても反映されない: 受信者がテンプレートを正しいフォルダに配置していないか、Outlookを再起動していない可能性があります。
- 名前が重複して混乱する: 命名規約とカテゴリルールを設け、フォルダ構成や説明欄を活用してください。
回避策: テンプレート配布時に「導入手順(ステップバイステップ)」を添付し、受信者が迷わないようにすることを推奨します。
代替手段と比較
- 署名機能: よく使う署名ならOutlookの署名機能のほうが一元管理しやすい。
- テキスト拡張ツール(AutoHotkey、TextExpanderなど): システム全体での定型文展開が必要な場合は専用ツールが便利。ただし書式や画像の扱いに差が出ることがあります。
- テンプレートとして保存(.oft): 完整なメールテンプレートが必要な場合はこちらが向いています。
いつ使うか: メール本文内で書式を保持して頻繁に再利用する要素にはQuick Partsが最適です。
互換性と移行のヒント
- Outlookのバージョン間での互換性は高いが、マクロ(.dotm)や環境ごとの設定は影響する。
- 共有は可能な限り .dotx(マクロなし)で行い、必要なら受信者側でQuick Partsを自分のNormalEmail.dotmへ取り込みさせる。
- 管理者はグループポリシーやログオンスクリプトでテンプレート配布を自動化できる。
移行チェックリスト:
- 古いPCの %APPDATA%\Microsoft\Templates をバックアップ
- 新しい環境にコピーしてOutlook再起動
- 動作確認(Quick Parts表示/挿入)
役割別チェックリスト
- エンドユーザー:
- 必要な定型文を作成して命名・カテゴリを明確にする
- テンプレートを個人でバックアップする
- チームリーダー:
- 命名規約とカテゴリ分類を定める
- 共有テンプレートを定期的にレビューする
- IT管理者:
- テンプレート配布方法(GPO/共有フォルダ)を決める
- バックアップと復元手順を文書化する
実践SOP(簡易プレイブック)
- 目的を定義する(例: 顧客返信テンプレの標準化)
- サンプルを作成してチームでレビュー
- Quick Partsをテンプレートに保存
- テンプレートを共有(.dotxを推奨)
- 配布後、1週間以内にフィードバックを収集して改善
よく使う用語(1行定義)
- Quick Parts: Outlook/Wordで繰り返し使うコンテンツを保存する機能。
- NormalEmail.dotm: Outlookの既定テンプレートファイルでQuick Partsが保存される場所の一つ。
- .dotx/.dotm: Wordテンプレート(dotmはマクロを含む可能性あり)。
まとめ
Quick Partsはメール作成の速度と一貫性を向上させる強力な機能です。作成は簡単で、共有・移行はテンプレートを使うことで安全に行えます。運用ルール(命名規約、カテゴリ、配布方法)をあらかじめ定めると、チーム全体で効果を最大化できます。
重要: 共有は .dotx を基本に、IT管理者はテンプレート配布の自動化を検討してください。
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