Microsoft Plannerでカスタムフィールドを作成する方法

Microsoft Plannerはチームのプロジェクト管理をシンプルにするツールです。しかし、標準フィールドだけではワークフローに合わない場合があり、そこでカスタムフィールドの出番です。カスタムフィールドを使えば、各タスクにプロジェクト固有のデータを付与して、追跡やフィルタリング、集計が行いやすくなります。
カスタムフィールドを作成する手順
- Premiumプランを契約していることを確認します。Premiumがないとカスタムフィールドにアクセスできません。
- Plannerでボードを開き、上部のGrid表示(グリッドビュー)に切り替えます。
- 「列の追加」を選び、次に「新しいフィールド」を選択します。
- フィールドの種類(Type)を選びます。
- フィールド名を入力し、「作成」をクリックします。
注意: Premiumプランでは最大10個のカスタムフィールドを作成できます。
カスタムフィールドの種類と使い方
- テキスト(Text) — 任意の文字列を保存できます。メモ、根拠、短い説明などに使います。
- 数値(Number) — 数値のみ。サブタスクのロールアップ(最小/最大/平均/合計)を設定できます。例: 見積時間を「合計」でロールアップして作業量を算出。
- 日付(Date) — カレンダーから日付を選択可能。承認日や納期のトラッキングに便利です。
- はい/いいえ(Yes/No) — ドロップダウンでYes/Noを選べます。品質チェックやレビューの有無を示すのに有効。
- 選択(Choice) — 2〜20個の選択肢を持つドロップダウン。絵文字や特殊文字も使えます。例: リスク = {高, 中, 低}
ヒント: Windowsでは「Windowsキー + ;」、Macでは「Control + Command + スペース」で絵文字パレットを呼び出せます。選択肢にはペイントバケツアイコンで色付けができ、視認性を高められます。色を削除するにはゴミ箱アイコンを選びます。
編集・フィルタ・カラーリング
既存のカスタムフィールドを編集するには、Grid表示で該当のカラムメニューを開き「編集」を選びます。フィールドの内容に基づくフィルタやカスタムカラーを設定して、重要なタスクをすばやく見つけられます。
Teamsでの利用とプレミアム機能の試用
Microsoft 365とTeamsを使用している場合は、Teams内のPlannerアプリで同じ操作が可能です。Plannerアプリ内のダイヤモンド(◆)アイコンをクリックすると、高度なプレミアム機能の30日無料トライアルを開始できます。トライアル後にライセンスを購入する流れになります。
代替アプローチ(いつカスタムフィールドが最適でないか)
- カスタムフィールドが10個を超える、あるいは複雑なリレーションやビューを必要とする場合は、Microsoft Lists、SharePointリスト、またはPower Appsを検討してください。これらはフィールド数やデータ構造の柔軟性が高いです。
- 複雑なガントチャート、リソース管理、コスト計算が必要な場合はMicrosoft Projectや専用PMツールの方が適しています。
設計のミニ手順(フィールドを作る前のチェックリスト)
- 目的を1文で定義する(例:「各タスクに見積時間とリスク度を残し、週次で合計を出す」)。
- 必要最小限のフィールド数にする(推奨3〜7)。
- 各フィールドの型を決める(テキスト/数値/日付/選択等)。
- 命名規則を統一する(例: 接頭辞「CF_」や短く分かりやすい英語/日本語)。
- テストデータでロールアップやフィルタを検証する。
- 運用ルールと担当者を文書化する。
役割別チェックリスト(導入後の運用例)
- プロジェクトマネージャー
- フィールドの最終承認、命名規則の決定
- ロールアップ設定の監査
- チームリーダー
- メンバーへの入力ルール周知
- 週次レポートでカスタムフィールドを利用
- 開発者 / 実作業者
- タスク作成時に必須フィールドを埋める
- 数値フィールドは単位を統一(例: 時間=「h」ではなく数値)
- 品質保証(QA)
- はい/いいえフィールドでテスト完了をマーク
- 選択フィールドで優先度/リスクを確認
テンプレート例(プロジェクト別の標準フィールド)
プロジェクト種類 | 推奨フィールド(例) |
---|---|
ソフトウェア開発 | 優先度(Choice), 見積時間(Number, Sum), リリース日(Date), ステータス(Choice) |
マーケティング施策 | 予算(Number), キャンペーン開始日(Date), 承認済み(Yes/No), チャネル(Choice) |
採用活動 | 担当面接官(Text), 面接日(Date), ステータス(Choice), 内定可否(Yes/No) |
テストケースと受け入れ基準
- 新規フィールド作成: フィールドを追加後、タスクに値を入力できること。
- ロールアップ検証: サブタスクを追加して数値フィールドの合計/平均が期待値と一致すること。
- フィルタ動作: 特定の選択肢で絞り込みを行い、該当タスクのみが表示されること。
- 色付け/削除: 選択肢に色を設定し、見た目が変わること。色を削除できること。
典型的な失敗例と回避策
- 失敗: フィールドを大量に作りすぎて入力がバラバラになる。
回避: 必須項目を最小限にし、入力手順をテンプレ化する。 - 失敗: 数値フィールドに単位や形式が混在する。
回避: 単位は別フィールドにするか、命名規則で統一する。 - 失敗: 個人識別情報(PII)を自由に入れさせる。
回避: PIIは格納しない方針を決め、必要なら専用の保護されたリポジトリを使う。
セキュリティとプライバシーの注意点
カスタムフィールドはPlannerのタスク内に保存されます。個人情報や機密データの保存は避け、保存が必要な場合はアクセス権限や保持ポリシーを明確にしてください。GDPRや社内のデータ保護基準に従うこと。
Decision(カスタムフィールドを使うべきかどうか)
以下の簡易フローを参考に判断してください。
flowchart TD
A[タスクに追加したい情報は構造化されているか?] -->|Yes| B[単純な属性(テキスト/数値/日付/選択)か?]
A -->|No| Z[代替:ドキュメントやSharePointを利用]
B -->|Yes| C[フィールド数が10個以内か?]
B -->|No| Z
C -->|Yes| D[Plannerのカスタムフィールドを使用]
C -->|No| Y[代替:Microsoft Lists/Power Apps/SharePointを検討]
よくある質問
カスタムフィールドは最大いくつ作れますか?
Premiumプランで最大10個です。
作成後にフィールドを編集できますか?
はい。Grid表示の該当カラムのメニューから「編集」を選択して変更できます。
TeamsのPlannerアプリからも同じ機能を使えますか?
はい。Teams内のPlannerアプリでGrid表示に切り替え、同じ手順で作成できます。プレミアム機能の体験はアプリ内のダイヤモンドアイコンから30日トライアルが可能です。
まとめ
カスタムフィールドは、Plannerをチームのワークフローに合わせて拡張する強力な機能です。設計段階で目的と最小限のフィールド数を決め、命名規則と運用ルールを定めることで、入力の一貫性と分析のしやすさが向上します。より複雑な要件がある場合は、Microsoft ListsやPower Appsなどの代替案も検討してください。
重要: 個人情報や機密データの取り扱いは社内ルールと法令に従ってください。