OdinでイメージファイルをOdinフラッシュ可能なファイルに変換する方法

Odinでフラッシュできるように、.imgイメージを自動で.tar.md5(Odin互換)にパッケージするWindows用のスクリプトを使う手順を解説します。準備、実行、検証、トラブルシューティング、代替手段や安全上の注意まで網羅しています。
重要: この手順で使うスクリプトはWindows専用です。macOS/Linuxユーザーは代替手法を参照してください。
概要
OdinはSamsungデバイス向けにカスタムROMやカスタムモッドをフラッシュするためのツールです。Odinでフラッシュ可能なファイルは専用のパッケージ形式(一般的に.tar.md5など)である必要があります。多くの場合、カスタムリカバリなどは拡張子が .img のイメージファイルで配布されますが、このままではOdinで直接扱えません。
本稿では、XDAフォーラムで配布されているWindows用スクリプト(ImgToTar.MD5.bat)を用いて、.imgファイルを自動的にOdinでフラッシュ可能な形式に変換する手順を説明します。手順はシンプルで、特別なコマンド操作を必要としません。
事前準備
- 対応OS: Windows(スクリプトはWindowsのバッチファイルです)。
- 必要ファイル: 変換したい .img ファイル、XDAからダウンロードしたスクリプトアーカイブ。
- バックアップ: フラッシュ作業は機器のデータを消去する可能性があるため、事前に必ず重要データをバックアップしてください。
重要: 不明なソースのイメージや改変されたスクリプトはデバイスを不安定にしたり、保証を無効にする場合があります。
変換手順
XDAフォーラムの該当スレッドにアクセスし、最初の投稿に添付されたスクリプトをダウンロードします。ファイルは小さめです。
ダウンロードしたアーカイブを解凍し、スクリプトと付属ファイルをデスクトップなど分かりやすい場所に展開します。
変換したい .img ファイルをデスクトップにコピーします。拡張子が .img であることを確認してください。
デスクトップ上の “ImgToTar.MD5.bat” をダブルクリックして実行します。これが変換ツールを起動します。
画像: ImgToTar.MD5.bat 実行時に表示されるWindowsコマンドプロンプトのスクリーンショット
ツールは自動で処理を行うため、ユーザー操作は不要です。完了まで待ちます。
変換が終わるとCMDウィンドウは閉じられ、デスクトップに新しく作成されたOdin互換ファイル(通常は.tar.md5形式)が表示されます。
画像: 変換後にデスクトップ上に現れるOdinフラッシュ可能ファイルの例
- そのファイルをOdinに読み込ませ、通常通りデバイスをダウンロードモードで接続してフラッシュを行ってください。
確認と受け入れ基準
- 生成ファイルが.tarまたは.tar.md5であること。
- Odinで該当ファイルを読み込み、画面に正しく表示されること。
- フラッシュ後にデバイスが正常に起動すること(再起動、ブートループや重大なエラーがないこと)。
テストケース例:
- 正常ケース: .img→変換→Odinでフラッシュ→デバイスが起動。
- 失敗ケース: 拡張子が .img でない、イメージが破損している、デバイス固有のパーティション構成と不整合。
トラブルシューティングとロールバック
- CMDがすぐに閉じる/エラーが表示される: 元の .img が壊れているか、ファイル名にスペースや特殊文字が含まれている可能性があります。ファイル名を英数字に変更して再試行してください。
- フラッシュ後に起動しない(ブートループ): すぐに電源を切り、ストックROM(公式ファームウェア)をOdinで再フラッシュして復旧を試みます。
- どうしても復旧できない場合は、デバイス専用のリカバリまたはJTAGサービスを検討してください。
注意: フラッシュ作業にはリスクが伴います。必ず機器のバッテリーを十分に充電し、USB接続を安定したポートで行ってください。
いつこの方法がうまくいかないか
- イメージが特定のデバイス向けにカスタムされている場合、単純にパッケージ化するだけでは不十分です(パーティションマップや先頭ヘッダが異なるため)。
- イメージが暗号化されている場合や、署名チェックが必要な場合は変換だけでは動作しません。
- macOS/Linux環境では本手順のバッチファイルは動作しないため、別手段を使う必要があります。
代替手段
- Linux/macOSを使う場合: heimdall(オープンソースのフラッシュツール)や自作のtarパッケージングスクリプト(mkbootimg/abootimgなど)を利用して同等の処理を行います。これらは手動操作やコマンドラインの知識が必要です。
- GUIツール: 一部のカスタムツールはイメージのパッケージ化をサポートしますが、信頼できる配布元から入手してください。
比較マトリクス(簡易):
- Windowsバッチ(本手順): 簡単、初心者向けだがWindows限定。
- Heimdall: クロスプラットフォーム、コマンドライン知識が必要。
- 手動スクリプト: 柔軟だが専門知識必須。
ロール別チェックリスト
開発者:
- 元イメージの整合性(ハッシュ)を確認する。
- 必要であればパーティション情報を検証する。
一般ユーザー:
- バックアップを取る。
- Odinとドライバが正しくインストールされていることを確認する。
- 変換後のファイルをOdinで読み込めるか事前に確認する。
技術サポート:
- 変換ログまたはエラーメッセージを収集する。
- 元の.imgと生成された.tar.md5のハッシュを比較する。
ミニ手順(要約)
- XDAからスクリプトをダウンロードして解凍。
- 変換したい .img を同じフォルダ(推奨: デスクトップ)に置く。
- “ImgToTar.MD5.bat” をダブルクリックして待機。
- 生成された .tar.md5 をOdinでフラッシュ。
安全とリスク
- カスタムイメージのフラッシュは保証を無効にする可能性があります。
- 信頼できないソースのスクリプトやイメージは使わないでください。
- 重要なデータは事前にバックアップしてください。
用語集(1行定義)
- Odin: Samsung製Androidデバイス向けの公式/非公式フラッシュツール。
- .img: ディスク・パーティションなどのイメージファイル。
- .tar.md5: Odinが扱うことが多いパッケージ形式。MD5は整合性チェック。
よくある質問
Q: このスクリプトはmacOSやLinuxで動きますか?
A: いいえ。本記事で扱うスクリプトはWindowsのバッチファイルです。macOS/Linuxではheimdallや自作スクリプトを利用してください。
Q: 変換してもデバイスが起動しません。どうすればいいですか?
A: まず電源を切り、ストックファームウェアをOdinで再フラッシュして復旧を試みます。問題が続く場合は、元イメージの互換性やパーティション構成を確認してください。
Q: 生成されたファイルの拡張子が異なる場合は?
A: 一般には.tarまたは.tar.md5になります。異なる場合は、ツールが正常に動作していないか、元ファイルが想定外の形式です。
まとめ
- .imgファイルをOdin互換形式に変換するには、Windows用のImgToTar.MD5.batスクリプトが簡単で便利です。
- 実行前に必ずバックアップを取り、信頼できるソースを利用してください。
- 問題が起きた場合はストックROMでの復旧や、代替ツール(heimdall等)を検討してください。
短い発表文: ImgToTar.MD5.batスクリプトを使えば、Windows環境で簡単に .img をOdinでフラッシュ可能な.tar.md5に変換できます。手順はダウンロード、配置、ダブルクリックの3ステップです。