目次
- 5つの方法でWindows 11の電源モードを変更する
- Settingsで変更する方法
- コントロールパネルで変更する方法
- Mobility Centerで変更する方法
- 実行コマンド(Run)で変更する方法
- コマンドプロンプトで変更する方法
- どの電源モードが最適か
- カスタム電源プランの作成手順
- 管理者・IT担当者向けのチェックリスト
- コマンドチートシート(よく使うpowercfgコマンド)
- トラブルシューティング(変更できない/表示されないとき)
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
5つの方法でWindows 11の電源モードを変更する
ここでは、Windows 11で電源モード(Power mode / 電源プラン)を切り替える代表的な5つの方法を、画面手順や補足説明とともに説明します。用途に応じて最も使いやすい方法を選んでください。
Settingsで変更する方法
Windows 11の「設定(Settings)」は、一般ユーザーにとってもっとも直感的で安全な方法です。手順は次の通りです。
- キーボードで Windows + I を押して「設定」を開きます。
- 左側のメニューまたはメイン領域から「システム(System)」を選びます。
- 「電源とバッテリー(Power & battery)」をクリックします。
- 「電源モード(Power mode)」のドロップダウンをクリックし、次のいずれかを選択します:
- 省電力(Best power efficiency / Power saver)
- バランス(Balanced)
- 最高のパフォーマンス(Best performance)
重要: ノートPCでは「バッテリー稼働時」と「電源接続時」で設定を分けられる場合があります。画面上の選択肢を確認してください。
画像説明: Windows 11の「電源とバッテリー」設定画面。電源モードの選択ドロップダウンが見える。
コントロールパネルで変更する方法
古典的な方法ですが、詳細設定やカスタムプランの作成にはコントロールパネルが便利です。
- Windows + R を押して「ファイル名を指定して実行(Run)」を開きます。
- 「control panel」と入力して Enter を押します。
- コントロールパネルの表示方法を「大きいアイコン(Large icons)」に変更します。
- 「電源オプション(Power Options)」をクリックします。
- 表示される電源プラン一覧から「バランス」「高パフォーマンス」「省電力」などの中から選択します。
注: 一部のPCでは「省電力」や「高パフォーマンス」が表示されないことがあります。その場合は後述のカスタムプラン作成手順やpowercfgコマンドを使って追加できます。
画像説明: コントロールパネルの「電源オプション」。利用可能なプランが一覧表示されている。
Mobility Centerで変更する方法
ノートPCで素早く切り替えたいときに便利です。Windows Mobility Centerは、明るさや音量、バッテリーの状態などをひとまとめにした管理画面です。
- タスクバーの「スタート」を右クリックし、メニューから「モビリティ センター(Mobility Center)」を選択します。もしくは Windows + X でメニュー表示後に選ぶ方法もあります。
- 「バッテリーの状態(Battery status)」のドロップダウンから電源モードを選びます。
画像説明: Windows Mobility Center。バッテリーのスライダーや電源オプションが表示されている。
実行コマンド(Run)で変更する方法
「実行(Win + R)」にpowercfgコマンドを入力することで、画面を開かずに直接電源プランを切り替えられます。管理者権限は不要な場合が多いですが、システム制限がある環境では管理者権限が必要になることがあります。
- 現在の電源プラン一覧を確認する
powercfg /list
- 各プランに切り替える(代表的なGUID)
# バランス(Balanced)
powercfg.exe /setactive 381b4222-f694-41f0-9685-ff5bb260df2e
# 省電力(Power Saver)
powercfg.exe /setactive a1841308-3541-4fab-bc81-f71556f20b4a
# 高パフォーマンス(High Performance)
powercfg.exe /setactive 8c5e7fda-e8bf-4a96-9a85-a6e23a8c635c
# (オプション)究極のパフォーマンス(一部機種のみ)
powercfg.exe /setactive e9a42b02-d5df-448d-aa00-03f14749eb61
重要: 元の英語記事では「省電力」のGUIDが誤って重複していました。上記は一般的に用いられる標準GUIDです。ただし、メーカーやカスタムプランでGUIDが異なることがあるため、確実には /list で確認してください。
コマンドプロンプトで変更する方法
コマンドプロンプト(管理者として実行)を使えば、管理者が複数台に適用するスクリプトやトラブルシューティングを実行できます。
- スタートメニューで「cmd」と検索し、検索結果の「コマンドプロンプト」を右クリックして「管理者として実行」を選びます。
- 次のようにコマンドを入力して Enter を押します(必要なGUIDは /list で確認)。
powercfg.exe /setactive 381b4222-f694-41f0-9685-ff5bb260df2e
また、カスタムプランを作成する、既定に戻す、説明を表示するなどのコマンドも利用できます(次章のチートシート参照)。
どの電源モードが最適か
用途別の推奨:
- 最高のパフォーマンス: ゲーム、動画編集、大規模な計算・レンダリングなど、CPUやGPUの性能を最大限に使うときに選ぶ。画面輝度は高く、電力消費は増える。
- 省電力: バッテリー持続時間を優先する作業(文書作成、ブラウジング、プレゼンテーション)で有効。CPUの最大クロックを抑え、輝度を下げる。
- バランス: 日常利用で最も適した設定。性能と電力消費のバランスを自動的に調整する。
ヒューリスティック(判断の目安):
- ノートPCで外出先作業が多い → 省電力優先
- 電源に常時接続して重い処理を行う → 最高のパフォーマンス
- 普段使いで特別な要件がない → バランス
注意点: バッテリー経年劣化や機種による電源管理の違いにより、同名のプランでも挙動が異なる場合があります。
カスタム電源プランの作成手順
標準の3つのプランで満足できない場合は、自分用に細かく調整したカスタムプランを作成できます。
- Windows + R を押して「control panel」と入力し、Enter。
- 表示方法を「大きいアイコン(Large icons)」に変更。
- 「電源オプション(Power Options)」を開く。
- 左メニューの「電源プランの作成(Create a power plan)」をクリック。
- ベースにする既存プランを選択(例: Balanced)し、プラン名を入力して「次へ」をクリック。
- 表示のスリープや画面オフ時間を設定し「作成」をクリック。
- 作成後、「プラン設定の変更」→「詳細な電源設定の変更」から、プロセッサの電源管理、ディスク、USB設定、グラフィックス設定、電源ボタンの動作などを細かく調整できます。
管理者向け: グループポリシーや構成管理ツール(Intune, SCCM等)を使って、企業向けにカスタムプランを配布することが可能です。
管理者・IT担当者向けチェックリスト
- 目的を明確にする: バッテリー延長か性能優先かを決める。
- 対象デバイスの特性を確認: ノート/デスクトップ、バッテリー容量、メーカーの電源管理ユーティリティ
- 標準プランのGUIDを一覧化: powercfg /list で確認・記録
- 必要であればカスタムプランを作成しテストする
- グループポリシー/MDMで配布・ロールアウトプランを策定
- 変更後の動作確認: ベンチマークや平均バッテリー持続時間の確認
- ロールバック手順を作成: 既定プランに戻すコマンドを準備(powercfg -restoredefaultschemes)
コマンドチートシート(よく使うpowercfgコマンド)
# 電源プラン一覧を表示
powercfg /list
# 指定GUIDを有効にする
powercfg /setactive
# 既定の電源プランを復元(管理者)
powercfg -restoredefaultschemes
# 現在のプランと設定の詳細を表示
powercfg /query
# スリープ/ハイブリッド/休止状態の設定確認と変更(例)
powercfg /a
# 電源に関するエネルギー効率診断レポート生成(管理者)
powercfg /energy
# 指定デバイスがスリープ解除の原因になっているかを確認
powercfg /devicequery wake_from_any
使い方のヒント: 複数台に適用する場合は、バッチファイル(.bat)に必要な /setactive コマンドを記述し、管理者権限で実行すると効率的です。
トラブルシューティング
以下はよくある問題とその対処法です。
問題: 電源プランが変更できない、または選択肢が表示されない
- 対処: powercfg -restoredefaultschemes を管理者権限で実行して既定のプランを復元してから再確認します。復元後は再起動をおすすめします。
- 対処: ノートPCのメーカー製ユーティリティ(例: Dell Power Manager、Lenovo Vantage、HP Power Manager)が独自の設定で上書きしていることがあります。該当ユーティリティの設定を確認または一時的に無効にします。
問題: コマンドで切り替えても反映されない
- 対処: /setactive 後に powercfg /list で現在のアクティブプランを確認します。グループポリシーや管理者のプロファイルで強制的に別プランを適用している場合、そのポリシーを確認してください。
問題: 「究極のパフォーマンス」プランが表示されない
- 対処: そのプランはワークステーションや一部のWindowsエディションでのみ利用可能です。powercfgでGUIDを試すか、Windowsのエディション互換性を確認してください。
重要: 企業環境ではセキュリティポリシーや管理ツールが電源設定をロックしていることが多く、ユーザーが変更できないことがあります。IT管理者に問い合わせてください。
よくある質問(FAQ)
Windows 11に省電力モードはありますか
はい。Windows 11には省電力(Power saver)モードがあり、画面輝度の低下やCPUの最大周波数制限を通じてバッテリーを節約します。設定は「設定」→「電源とバッテリー」または「電源オプション」で行います。
Windows 11で電源モードを変更できないのはなぜですか
原因は複数あります。
- グループポリシーや企業の管理ツールでロックされている
- メーカーの電源管理ソフトが優先されている
- ユーザー権限が不足している(管理者権限が必要な操作がある) 対処法としては、別の方法(Settings・コントロールパネル・コマンド)を試し、管理者権限で powercfg -restoredefaultschemes を実行してみてください。問題が解決しない場合はIT管理者に相談してください。
省電力モードはPCの性能に影響しますか
はい。省電力モードはCPU/GPUの動作や画面の明るさを下げることで消費電力を抑えるため、重いアプリケーションやゲームの性能は低下します。逆に最高のパフォーマンスを選ぶと消費電力が増えます。
いつこの設定が無効に働くか(反例)
- 外付けアクセサリやUSBデバイスが原因でスリープに入らない、または復帰する場合、電源プラン自体を切り替えても問題は解決しないことがあります。デバイス個別の設定を見直してください。
- 一部のゲームや高負荷アプリは独自の電源管理APIを使うため、OS側のプラン切替が期待通りに反映されないケースがあります。
セキュリティ・プライバシーに関する注意
電源管理自体は個人データを扱う設定ではありませんが、リモート管理やポリシー配布を行う場合は、適切なアクセス制御とログ管理を実施してください。また、企業配布のスクリプトを利用する際は署名や信頼できる配布チャネルを使い、改変されていないことを確認してください。
小さな用語集(1行定義)
- 電源モード: OSがCPUクロックやディスプレイ輝度などを調整して消費電力と性能のバランスを取る設定。
- 電源プラン: 電源モードのカスタム設定を保存したプロファイル。
- powercfg: Windowsの電源設定を操作するコマンドラインユーティリティ。
役割別チェックリスト
エンドユーザー:
- 日常は「バランス」か「省電力」を基準に使う
- バッテリー残量が少ないときは省電力に切り替える
- 変更が反映されない場合は再起動して確認
IT管理者:
- 企業のポリシーを定義してドキュメント化する
- カスタムプランとGUIDを配布スクリプトで管理
- 変更後にベンチマークとバッテリーテストを実施
開発者/パワーユーザー:
- powercfgをバッチ化して複数マシンへ配布
- エネルギー効率レポート(powercfg /energy)で解析
まとめ
Windows 11では電源モードを切り替えることで、バッテリー持続時間や性能を簡単に調整できます。Settingsは一般ユーザー向け、コントロールパネルは細かい設定とカスタムプラン作成に向き、powercfgコマンドは自動化や詳細な管理に便利です。問題が起きたら powercfg -restoredefaultschemes やメーカーのユーティリティ確認、管理者への問い合わせで対処してください。
主なポイント:
- 使い分け: 日常はバランス、外出時は省電力、重負荷時は最高のパフォーマンス
- コマンドでの管理: powercfg /list でGUID確認、/setactive で切替
- トラブル時: メーカーソフトやグループポリシーの影響を確認
以上を参考に、用途にあった電源設定を選んでください。