HUDとは
HUDは「Heads-Up Display」の略で、作業中に邪魔にならない小さな独立ウィンドウで情報を表示するUIのことです。ゲームのHP表示やフルスクリーンアプリの小さなコントロールと同じ発想です。ウェブサイトをHUD化すると、ブラウザの大量タブから独立したミニウィンドウとして素早くアクセスできます。
重要: HUDは情報の素早い参照や軽い操作向けです。フル機能のブラウジングや長時間の制作作業には向きません。
準備: Website Popup と Automator
必要なもの:
- macOSを搭載したMac
- 管理者権限(Website Popupのインストールに必要)
- Automator(macOSに標準搭載)
- Website Popup automator action(外部配布のアクション)
手順の概略:
- Website Popupアクションをダウンロードしてインストールする。
- Automatorを起動してワークフローを作る。
- URLと表示設定を組み合わせる。
- システム環境設定でショートカットを割り当てる。
Automatorワークフローの作成
以下は実際に作るときの詳細手順です。短い文でシンプルにまとめます。
Automatorを開く。テンプレートは「Application」か「Service」を選びます。どちらでも独立して使えますが、Serviceにするとメニューから常時利用できます。
Serviceを選んだ場合は「サービスは受け取らない」に設定します(メニュー: サービスは入力を受け取らない)。
ライブラリから「Get Specified URLs」(指定したURLを取得)アクションを追加します。検索欄で素早く見つけられます。
「Get Specified URLs」のボックス内にHUD化したいサイトのURLを入力します(例: https://makeuseof.com)。
次に「Website PopUp」アクションを追加します。
Website PopUpには複数の設定があります。
- Site Size(サイズ): Large / Medium / iPhone / iPhone (Landscape) / Custom。Customでは幅と高さをピクセルで指定できます。
- User Agent(ユーザーエージェント): Safari / iPhone。これを切り替えると表示されるサイトの種類(モバイル版/デスクトップ版)が変わります。
- Position(位置): Centered(中央) / At Pointer(カーソル位置)。
- Output(出力): 実際には選んでも結果が変わらない場合があります。
- 設定が済んだらワークフローを保存します。わかりやすい名前(例: HUD — MakeUseOf)にしてください。
ショートカットを割り当てる
- システム環境設定 > キーボード > キーボードショートカット > サービス に移動します。
- 先ほど保存したServiceワークフローの項目を見つけ、好みのキーコンビネーションを割り当てます。
これで、どのアプリケーション上でも割り当てたショートカットを押すとHUDが呼び出せます。
設定例と表示の違い
例1: Site Size = iPhone、User Agent = iPhone の場合
- 結果: 小さなウィンドウでモバイル版サイトが表示されます。チャットや通知の確認に向きます。
例2: Site Size = Large、User Agent = Safari の場合
- 結果: 大きめのウィンドウでデスクトップ版サイトが表示されます。記事の閲覧や複数要素の確認に便利です。
他のサイト(Facebook、Gmail、Twitterなど)でも同じ手順でHUDを作れます。
応用例とヒント
- メールやチャットの軽い確認用HUDは通知源として便利です。長文入力や複雑な操作は通常のブラウザで行いましょう。
- 複数のHUDを作っておくと、作業毎に素早く切り替えられて生産性が上がります。
- サイズは慣れてきたらCustomで微調整してください。幅: 320–1280px、高さ: 200–1000pxあたりが実用域です。
重要: 一部のサイトはモバイル用の表示やポップアップの制御をJavaScriptで行っており、HUD内で機能が制限される場合があります。
代替アプローチ
- Site-specific browser (SSB) ツール: Fluidなどを使ってサイトごとに独立したアプリを作る方法。常駐やDockアイコンを作りたい場合に向きます。
- ブラウザのウィンドウ管理拡張: ChromeやSafariのウィンドウを固定サイズで開く拡張機能やショートカットで代用できます。
- ウィジェット/通知アプリ: ちょっとした通知表示だけが目的なら専用ウィジェットや通知連携の方が軽量です。
それぞれの長所短所:
- Automator+Website Popup: 手軽に複数作れてショートカット連携が簡単。だが機能が限定されるサイトもある。
- Fluid(SSB): よりネイティブ寄りの統合と常駐性。ライセンスや設定の手間が増える。
- ブラウザ拡張: 単一ブラウザ依存。環境を統一している人向け。
簡易手順(ミニ手順)
- Website Popupをインストール
- AutomatorでServiceを新規作成
- Get Specified URLsを追加してURLを入力
- Website PopUpを追加してサイズ/ユーザーエージェント/位置を設定
- ワークフローを保存してシステム環境設定でショートカットを割り当てる
ロール別チェックリスト
一般ユーザー:
- 頻繁にアクセスするサイトを3つ選ぶ
- HUDのサイズを1つ決める(Small or Medium)
- ショートカットを割り当てる
パワーユーザー/開発者:
- 各HUDにCustomサイズを設定して複数解像度に対応
- User Agentを切り替えて表示崩れを確認
- SSB(Fluid等)と併用して最適な運用方法を確立
管理者/IT担当:
- Website Popupの配布とインストールポリシーを確認
- ユーザー向けテンプレート(URLと設定)を配付
- セキュリティ設定とプライバシー影響を評価
テンプレート: 新しいHUD作成チェックリスト
- HUD名:
- URL:
- Site Size: (Large / Medium / iPhone / Custom -> 幅 x 高さ)
- User Agent: (Safari / iPhone)
- Position: (Centered / At Pointer)
- ショートカット:
- 備考:
このテンプレートをコピーして複数のHUDを管理すると便利です。
互換性と移行のヒント
- macOSのバージョン差: Automator自体やサードパーティのアクションはOSごとに挙動が変わることがあります。大きなアップデート前にテストしておいてください。
- Apple Silicon (M1/M2) 環境でも基本的には動作しますが、古いアクションがIntel専用の場合は互換性を確認してください。
- ブラウザ依存: Website Popupは内部でWebKitベースのレンダリングを使うため、Chrome専用の機能は動かない場合があります。
1行用語集
- HUD: 小型の独立ウィンドウで情報を素早く表示するUI。
- SSB: Site-specific browser、特定サイトを独立アプリ化する方法。
- User Agent: サイトに対してどのブラウザや端末として振る舞うかを決める識別子。
いつうまくいかないか(注意すべきケース)
- サイト側でログインセッションを厳格に管理している場合、HUD内でのログインが正しく維持されないことがあります。
- リッチなJavaScriptインタラクション(ドラッグ&ドロップ、複雑なフルスクリーン機能)はHUD内で部分的に動作しない可能性があります。
- サイトのレスポンシブ設計が不十分だと、モバイル/デスクトップの切り替えで表示が崩れることがあります。
セキュリティとプライバシーの注意
- HUDはブラウザとは別のコンテキストで動作するため、既存のブラウザ拡張やセッションの恩恵を受けられない場合があります。
- ログイン情報や自動入力情報をHUDに預ける前に、セキュリティポリシーを確認してください。
まとめ
AutomatorとWebsite Popupを組み合わせれば、頻繁に使うウェブサイトを邪魔にならないHUDとして素早く呼び出せます。手順は単純で、Site SizeやUser Agentを調整するだけでモバイル表示やデスクトップ表示を切り替えられます。用途に合わせて複数作成し、ショートカットで運用すると作業効率が上がります。
重要: HUDは「素早い参照」向けのUIです。複雑な操作や長時間作業は通常のブラウザで行ってください。
短いお知らせ文(共有用):
AutomatorとWebsite Popupを使えば、TwitterやGmailなどを小さな独立ウィンドウ(HUD)として瞬時に開けます。簡単なワークフロー作成とショートカットの割り当てで、よく使うサイトへどのアプリからでもワンキーでアクセス可能。作業の邪魔をせず、素早く情報を確認したい人におすすめのテクニックです。