イーサネット接続時にWi‑Fiを自動でオフにする方法

イーサネット(有線)接続は、一般にWi‑Fiよりも速く安定しています。Windowsはイーサネット接続を検出すると自動的に有線を優先しますが、Wi‑Fiが完全にオフにならずバッテリーを消耗することがあります。ここでは、Wi‑Fiを自動でオフにする方法を、ネイティブ設定とソフトウェア/スクリプトの二通りで説明します。
目次
- なぜ自動でオフにするべきか
- Windowsでのネイティブ設定(推奨)
- 対応していない場合のソフトウェア/スクリプトによる方法
- テストケースと受け入れ基準
- トラブルシューティングとよくある失敗例
- 役割別チェックリスト
- よくある質問(FAQ)
なぜ自動でオフにするべきか
- 有線接続は通常、レイテンシーが低く安定しています。
- 同時にWi‑Fiがオンだとバッテリー消費が増えます。
- 手動で切るのを忘れる人向けに自動化すると作業効率が上がります。
重要: 企業ネットワークや特殊なルーティングがある環境では、Wi‑Fiを残したままにしておく必要がある場合があります。自動化前にネットワーク要件を確認してください。
Windowsでのネイティブ設定(Wi‑Fiアダプターのプロパティを変更)
この方法が使える場合、追加ソフト不要で最もシンプルです。
- スタートメニューで「コントロールパネル」と検索して開く。
- 表示方法を「カテゴリ」にして、Network and Internet(ネットワークとインターネット)内の「View network status and tasks(ネットワークと共有センターの表示)」をクリック。
- 接続中のネットワークがWi‑Fiなら「WiFi」リンクをクリック。イーサネット接続中であれば左ペインの「アダプターの設定の変更」を選び、Wi‑Fiアダプターを右クリック→「状態」を選択。
- 「状態」ウィンドウで「プロパティ」をクリック。
- Wi‑Fiのプロパティで「構成」をクリック。
- 「詳細」タブを開き、プロパティ一覧から「Disable Upon Wired Connect(または同等の文言)」を選択。右側の値を「Enabled」にしてOKで保存。
注意: このオプションがリストにない場合、Wi‑Fiカードがこの機能に対応していません。次のソフトウェア/スクリプト方法を試してください。
結果: 以降、イーサネットが接続されるとWi‑Fiが自動で無効化されます。ケーブルを外すとWi‑Fiは再び有効になります。
ソフトウェア/スクリプトでの自動化(ネイティブ非対応時)
ネイティブ機能が無い場合の代替案を挙げます。
選択肢 1 — WirelessAutoSwitch(有料)
- 軽量で導入が簡単。
- 価格は約 $8(USD)。
- イーサネット接続で自動的にWi‑Fiを無効化し、切断時に再度有効化します。
選択肢 2 — WLAN Manager PowerShell スクリプト(無料、但し古い)
- 無料だが、更新が止まっているため一部の最新ネットワークカードで動作しない可能性があります。
- 試す場合は以下の手順を参照。
手順(PowerShell スクリプトの例)
- 公式サイトからzipをダウンロードして展開。
- 管理者権限でPowerShellを開き、展開フォルダに移動。
- 実行ポリシーを設定:
Set-ExecutionPolicy RemoteSigned
- プロンプトで「A」と入力して確定。
- インストールコマンドを実行してスケジュールタスクを作成:
.WLANManager.ps1 -Install:System
- 動作が不適切な場合はアンインストール:
.WLANManager.ps1 -Remove:System
安全上の注意: 出所不明のスクリプトは実行前に中身を確認してください。管理者権限で実行するため、意図しない変更がシステムに加わるリスクがあります。
テストケースと受け入れ基準
導入後に満たすべき基本的な受け入れ条件を示します。
テストケース 1 — ネイティブ設定
- 手順: Wi‑Fiを有効にし、イーサネットケーブルを接続する。
- 期待結果: 5秒以内にWi‑Fiが無効化され、ネットワークは有線に切り替わる。
テストケース 2 — ケーブル切断
- 手順: イーサネットを切断する。
- 期待結果: 5〜10秒以内にWi‑Fiが自動的に有効化され、以前のWi‑Fiネットワークに接続される。
テストケース 3 — 再起動後の永続性
- 手順: システムを再起動する。
- 期待結果: 設定が持続し、次回以降も自動切替が機能する。
受け入れ基準: 上記3ケースがすべて満たされれば合格。
トラブルシューティング — よくある失敗例と対処
失敗例: 「Disable Upon Wired Connect」が存在しない
- 原因: Wi‑Fiアダプターやドライバーが機能をサポートしていない。
- 対処: ドライバーをメーカーの最新版に更新するか、ソフト/スクリプト方式を試す。
失敗例: スクリプトが動作しない
- 原因: PowerShell 実行ポリシー、スクリプトの互換性、管理者権限不足。
- 対処: 実行ポリシーを確認し、スクリプトを管理者として実行。ログ出力があれば内容を確認。
失敗例: 企業のセキュリティポリシーが干渉する
- 原因: グループポリシーや管理者による制限。
- 対処: IT部門に相談して正式な運用ルールを確認。
代替アプローチと考え方(メンタルモデル)
- 優先度モデル: 常に有線 > 公共Wi‑Fi > モバイルデータ。自動化はこの優先度を機械的に適用するだけ。
- 安全モデル: 自動でWi‑Fiを切るとリモート管理やリモートアクセスが途切れる可能性があるため、管理上必要な場合は例外ルールを設ける。
役割別チェックリスト
一般ユーザー:
- コントロールパネルで手順を試す。
- 目に見える問題があればソフト導入を検討。
IT管理者:
- 社内ポリシーとの整合性を確認。
- 重要端末は自動切替の例外リストを作成。
パワーユーザー/システム管理者:
- PowerShellスクリプトを検証し、必要であれば内部用にフォークして監査ログを追加。
ロールバック手順(簡易)
- ネイティブ設定を戻す: Wi‑Fiアダプターの「Disable Upon Wired Connect」を「Disabled」に変更。
- スクリプトのアンインストール:
.WLANManager.ps1 -Remove:System
- サードパーティーソフトのアンインストール: コントロールパネルまたは設定 → アプリから通常の方法で削除。
セキュリティとプライバシーの注意点
- サードパーティ製ツールを導入する場合は、配布元と利用許諾を確認してください。
- スクリプトは必ずソースを確認し、必要ならコードレビューを行ってから管理者権限で実行してください。
互換性メモ
- 一部の古いWi‑Fiカードや非常に新しいカードは、プロパティに「Disable Upon Wired Connect」が表示されない可能性があります。
- Windows のバージョン差でUIの文言が若干異なることがあります(例: 「Wi‑Fi」→「Wireless Network (無線ネットワーク)」など)。
まとめ
- まずはWi‑Fiアダプターの「Disable Upon Wired Connect」を確認し、有効化するのが最も簡単で安全な方法です。
- 対応していない場合はWirelessAutoSwitch(有料)やWLAN Managerのようなスクリプトを検討してください。
- 導入後は必ずテストケースを実行し、企業環境ではIT部門と調整してください。
Image credit: Unplugged – no computer, no internet, possible?
よくある質問
Q: この方法はWindowsのどのバージョンで動作しますか?
A: 手順は主にWindows 10/11を想定しています。UIはバージョンやローカライズによって少し異なる場合があります。
Q: WirelessAutoSwitchの代わりに無料で確実に動くツールはありますか?
A: 完全に動作保証された無料ツールは環境依存です。まずはWLAN Managerのスクリプトを試し、問題があれば商用ツールの導入を検討してください。
Q: 自動でオフにするとリモート管理ができなくなりませんか?
A: 可能性はあります。リモートアクセスが必須の端末は自動化の例外にするか、ネットワークポリシーを調整してください。