概要
多くの人はスマートフォンに多数のアプリを入れていますが、日常的に使うのはごく一部です。Android 15は、使用頻度の低いアプリを「アーカイブ」する機能を導入しました。アーカイブは、アプリを完全にアンインストールするのではなく、一時的に必要なバイナリや権限を解除してストレージを空ける仕組みです。
定義: アーカイブ — アプリ本体(実行コード)と一時ファイル、権限を削除する一方で、アプリのユーザーデータは端末に残す状態。
重要: アーカイブ中は通知が届きません。アプリのアイコンは淡く表示され、ダウンロード(復元)アイコンが重ねられます。
アーカイブの仕組み(短く)
- アプリの実行ファイルと一時キャッシュを削除します。
- アプリに与えた許可(位置情報やカメラなど)を取り消します。
- ユーザーデータ(設定やアプリ内データ)は端末に残ります。
- アイコンはランチャーに残り、復元操作で元に戻せます。
メリット: ストレージの節約、再設定の手間が少ない、必要時の復元が速い。
制約: アプリがPlayストアから削除されていると復元できない可能性があります。
アプリを手動でアーカイブする手順
手順は簡単です。短時間で完了します。
- アーカイブしたいアプリのアイコンを長押しします。
- 表示されるメニューの「i」ボタンをタップしてアプリ情報画面を開きます。
- 「アーカイブ」ボタンをタップします。
操作後すぐに権限は取り消され、アプリ本体がアーカイブされます。ランチャー上のアイコンは薄く表示され、ダウンロードのバッジが付くため視覚的に判別できます。
受入基準
- アイコンが薄く表示されている。
- アプリの通知が届かない。
- アプリ情報画面で「アーカイブ済み」と表示される(端末により文言は異なる場合あり)。
アーカイブ済みアプリを復元する方法
復元は2通りあります。最も簡単なのはランチャーのアイコンをタップする方法です。
- 薄く表示されたアーカイブ済みのアプリアイコンを探します。
- アイコン上のダウンロードマークをタップします。
復元中はWi‑Fiまたはモバイルデータ接続が必要です。アプリがPlayストアに存在していることも条件です。
代替手順(設定から):
- 設定アプリを開きます。
- 「アプリ」>「すべてのアプリを表示」へ進みます。
- アーカイブ済みアプリをスクロールして見つけ、タップします。
- 「復元」を押してダウンロードを開始します。
復元中はアイコンの周りに円形の進行表示が現れます。通知エリアを下に引くことで、ダウンロード進行状況を確認できます。
自動アーカイブを有効にする方法
個別のアプリを手動で管理する代わりに、Playストアに自動アーカイブを任せられます。ストレージが不足したときに、使用頻度の低いアプリを自動でアーカイブしてくれます。
- Playストアを起動します。
- 画面右上の接続中のGoogleアカウントのアバターをタップして「設定」を開きます。
- 「一般」を展開して設定を表示します。
- 「アプリを自動でアーカイブ」または類似の項目を見つけ、トグルをオンにします。
メモ: デバイスメーカーやAndroidの地域ローカライズにより、文言や項目の配置が多少異なる場合があります。
よくある質問
どのAndroidバージョンでアーカイブ/復元が使えますか?
Android 15以降で利用可能です。端末メーカーが独自UIで有効化している場合もあります。
アーカイブはアンインストールと同じですか?
いいえ。アーカイブはアプリデータを保持します。アンインストールはデータを完全に削除します。アーカイブは一時的な軽量化手段です。
アーカイブ済みアプリを復元できません。なぜ?
復元には十分な空き容量が必要です。端末がストレージ不足の場合、まず不要ファイルを削除して空き容量を確保してください。また、アプリがPlayストアから削除されていると復元できません。
アーカイブしたはずのアプリのアイコンが見つかりません。なぜ?
アーカイブ後にアプリをアンインストールしていると、アイコンは消え、データも削除されています。再インストールが必要です。
トラブルシューティングとよくあるケース
- 復元が途中で止まる: ネットワークを確認し、Wi‑Fiに切り替えて再試行してください。
- 復元後に権限が必要: 復元すると権限が空の状態なので、最初の起動時に権限を再付与してください。
- Playストアにアプリがない: 開発者が配布を停止している可能性があります。復元できません。
注意: 企業向けデバイスでは、モバイルデバイス管理(MDM)ポリシーでアーカイブが制限されることがあります。
実務者向けチェックリスト
エンドユーザー(個人):
- アーカイブ前に重要なデータが端末に残ることを確認する。
- 復元用のネットワーク(Wi‑Fi)を用意する。
- 自動アーカイブを有効にするか手動で管理するか決める。
管理者(IT管理者):
- MDMポリシーがアーカイブと競合しないか確認する。
- 社内アプリがPlayストアにあるか、復元可能かを確認する。
- ユーザー向け手順書を配布する。
ベストプラクティスと運用のヒント
- 頻繁に使うアプリはアーカイブ対象にしない。
- 自動アーカイブは便利だが、業務アプリが誤ってアーカイブされないようホワイトリスト化する。
- 端末のバックアップ(クラウド)を定期的に行い、アプリデータの二重保護をする。
短い運用フロー(Mermaid)
flowchart TD
A[アプリ使用状況をチェック] --> B{使用頻度低い?}
B -- はい --> C[アーカイブ候補に登録]
C --> D{ストレージ不足?}
D -- はい --> E[自動または手動でアーカイブ]
D -- いいえ --> F[保持]
B -- いいえ --> F
E --> G[アイコンは薄表示・通知停止]
G --> H[必要時に復元]
受入実施のためのテストケース
- テスト1: 手動アーカイブ後、アプリ通知が届かないことを確認する。
- テスト2: アーカイブ後に復元操作を行い、アプリが元の設定で起動することを確認する。
- テスト3: ストレージ不足時に自動アーカイブが発動することを確認する(自動オン設定)。
プライバシーとセキュリティの注意
アーカイブはアプリ権限を削除するため、権限漏洩リスクの軽減になります。ただし、端末に残るユーザーデータ(保存された設定やオフラインデータ)には注意が必要です。企業データが含まれる場合はMDMや社内のガイドラインに従ってください。
まとめ
Android 15のアーカイブ機能は、ストレージ管理のための有用な機能です。アプリデータを保持しつつ本体と一時ファイルを削除するため、後から簡単に復元できます。個人ユーザーは自動または手動を選べますし、管理者は運用ルールを定めることで誤操作を防げます。
要点: アーカイブはアンインストールではない。復元にはネット接続とPlayストアの存在が必要。自動化で手間を減らせる。
用語集(1行)
- アーカイブ: アプリ本体と一時ファイルを削除し、設定データは保持する状態。
コメントと次のアクション
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