デスクトップの右クリックで「セーフモード」を追加する方法(Windows 11)

重要: レジストリ変更やサードパーティ製ツールの導入はシステムに影響します。実行前に必ず重要なデータのバックアップを取ってください。
概要
セーフモードは、最小限のドライバーとサービスだけで Windows を起動するトラブルシューティング用の特別モードです。サードパーティのスタートアッププログラムや不要なサービスは無効化されます。通常は「Windows 回復環境(Windows RE) > スタートアップ設定 > 再起動」から入りますが、デスクトップの右クリックメニュー(コンテキストメニュー)にショートカットを追加しておくとより素早くアクセスできます。
この記事では次の内容を扱います。
- レジストリスクリプトを使ってセーフモード項目を追加する手順(コード付き)
- Winaero Tweaker を使って追加する手順
- 追加後の使い方と削除方法
- 失敗するケース、代替手段、ロール別チェックリスト、巻き戻し手順などの実践的な付加情報
画像
レジストリスクリプトでコンテキストメニューにセーフモードを追加する方法
説明: レジストリスクリプト(.reg ファイル)は、ダブルクリックでレジストリに変更を適用するためのファイルです。以下の手順で、デスクトップの右クリックメニューに「Safe Mode」メニューを追加する .reg を作成します。
手順(短い版):
- タスクバーの「スタート」ボタンを右クリックして「ファイル名を指定して実行(Run)」を開きます。
- 「ファイル名を指定して実行」の入力欄に
notepad
と入力し、Ctrl + Shift + Enter を押して管理者権限でメモ帳を起動します。 - 下のレジストリスクリプト全体をコピーします(コードブロック参照)。
- メモ帳に貼り付け(Ctrl + V)して、[ファイル] > [名前を付けて保存] を選びます。
- 「ファイルの種類」を「すべてのファイル」にし、ファイル名を
Safe Mode.reg
としてデスクトップに保存します。 - デスクトップ上の
Safe Mode.reg
をダブルクリックし、確認ダイアログで「はい」を選んでレジストリを統合します。
注意: 管理者承認が求められます。UAC(ユーザーアカウント制御)を確認してください。
レジストリスクリプトのコード(そのままコピー可):
Windows Registry Editor Version 5.00
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\SafeMode]
"icon"="bootux.dll,-1032"
"MUIVerb"="Safe Mode"
"Position"=-
"SubCommands"=""
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\SafeMode\Shell\001-NormalMode]
@="Restart in Normal Mode"
"HasLUAShield"=""
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\SafeMode\Shell\001-NormalMode\command]
@="powershell -windowstyle hidden -command \"Start-Process cmd -ArgumentList '/s,/c,bcdedit /deletevalue {current} safeboot & bcdedit /deletevalue {current} safebootalternateshell & shutdown -r -t 00 -f' -Verb runAs\""
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\SafeMode\Shell\002-SafeMode]
@="Restart in Safe Mode"
"HasLUAShield"=""
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\SafeMode\Shell\002-SafeMode\command]
@="powershell -windowstyle hidden -command \"Start-Process cmd -ArgumentList '/s,/c,bcdedit /set {current} safeboot minimal & bcdedit /deletevalue {current} safebootalternateshell & shutdown -r -t 00 -f' -Verb runAs\""
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\SafeMode\Shell\003-SafeModeNetworking]
@="Restart in Safe Mode with Networking"
"HasLUAShield"=""
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\SafeMode\Shell\003-SafeModeNetworking\command]
@="powershell -windowstyle hidden -command \"Start-Process cmd -ArgumentList '/s,/c,bcdedit /set {current} safeboot network & bcdedit /deletevalue {current} safebootalternateshell & shutdown -r -t 00 -f' -Verb runAs\""
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\SafeMode\Shell\004-SafeModeCommandPrompt]
@="Restart in Safe Mode with Command Prompt"
"HasLUAShield"=""
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\SafeMode\Shell\004-SafeModeCommandPrompt\command]
@="powershell -windowstyle hidden -command \"Start-Process cmd -ArgumentList '/s,/c,bcdedit /set {current} safeboot minimal & bcdedit /set {current} safebootalternateshell yes & shutdown -r -t 00 -f' -Verb runAs\""
画像: レジストリスクリプトをメモ帳に貼り付けた例
メモ:
- スクリプトは
bcdedit
を使って現在のブートエントリにsafeboot
オプションを設定/解除し、その後即時再起動します。 - コマンドは管理者権限で実行されます。
メモ帳での保存手順(参考画像あり):
保存が終わったら、デスクトップに生成された Safe Mode.reg
をダブルクリックして統合します。確認ダイアログが出たら「はい」を選択してください。
その後、デスクトップを右クリックして「その他のオプションを表示(Show more options)」を選び、従来型のクラシックメニューを表示します。メニューの末尾付近に「Safe Mode」項目が追加され、そのサブメニューから標準の「Restart in Safe Mode」や「with Networking」「with Command Prompt」を選べます。
追加した項目を削除する方法
- レジストリエディタ(regedit)を起動します。
- 次のキーに移動します: Computer > HKEY_CLASSES_ROOT > DesktopBackground > Shell > Safe Mode
SafeMode
キーを右クリックし、[削除] を選んでキーを削除します。
参照: レジストリエディタを開く方法については「Windows 11 でレジストリエディタを開く方法」をご確認ください。
Winaero Tweaker を使ってコンテキストメニューにセーフモードを追加する方法
説明: Winaero Tweaker は多数のコンテキストメニュー設定を含む無償のカスタマイズツールです。GUI から安全に操作したい場合は、こちらを使うと簡単です。
手順(要点):
- Winaero Tweaker のダウンロードページを開きます。
- 「Download Winaero Tweaker」リンクをクリックして ZIP をダウンロードします。
- エクスプローラーでダウンロードフォルダを開き、ZIP をダブルクリックします。
- 「すべて展開(Extract all)」を選び、展開オプションで「展開後に抽出ファイルを表示」をチェックしてから展開します。
- 展開フォルダ内の
Winaero Tweaker setup.exe
をダブルクリックしてセットアップを開始します。 - セットアップウィザードの指示に従い、インストールします(通常は「ノーマル」「同意する」「インストール」などを順に選択)。
- Winaero Tweaker を起動し、左側のカテゴリから
Context Menu
をダブルクリックします。 - 右側で
Safe Mode Context Menu
を選び、Add Safe Mode cascading menu to Desktop
のチェックボックスをオンにします。
これでデスクトップ右クリックから同様のセーフモード項目を呼び出せます。Winaero 側の実装は GUI で管理されるので、後でチェックを外すだけで削除できます。
さらに Winaero Tweaker には、デスクトップに直接セーフモードのショートカットを作るオプションもあります(Shortcuts > Safe Mode Shortcuts)。チェックを入れて Create Safe Mode Shortcuts
ボタンを押すだけで、標準/ネットワーク/コマンドプロンプト付きのそれぞれをデスクトップに作成できます。
作成したショートカットは、通常のデスクトップアイコンと同様に右クリックして「その他のオプションを表示」→「タスクバーにピン留め」や「スタートにピン留め」が可能です。
どちらの方法を選ぶべきか(比較と判断基準)
- 迅速で最小の変更を望むなら: レジストリスクリプト
- GUI 操作で元に戻しやすい方が良ければ: Winaero Tweaker
- ソフトウェアの導入を避けたい管理者や企業環境では、レジストリ変更はポリシーに沿って慎重に行ってください。
よくある問題と対処法(トラブルシューティング)
問題: 右クリックに項目が表示されない
- 対処: エクスプローラを再起動する(タスクマネージャーで explorer.exe を再起動)か、サインアウト/サインインを試してください。レジストリの場所が正しく追加されているか regedit で確認します。
問題: レジストリ統合でエラーが出る
- 対処: 管理者権限でレジストリファイルを実行しているか確認してください。UAC のダイアログを承認する必要があります。
問題: セーフモードに再起動したが通常起動に戻れない
- 対処: レジストリスクリプトが
bcdedit
でsafeboot
を恒久的にセットしてしまっている可能性があります。通常起動に戻すには、管理者権限のコマンドプロンプトで次を実行してください:
bcdedit /deletevalue {current} safeboot
bcdedit /deletevalue {current} safebootalternateshell
その後 shutdown -r -t 0
で再起動します。
代替アプローチ(場面別)
- msconfig(システム構成): セーフブート設定を GUI で管理して恒久的に設定するのに使えます。ただし即時再起動のショートカット機能はありません。
- Windows 回復環境(Windows RE): ハードウェア障害や起動障害がある場合の公式ルート。GUI 操作で確実にセーフモードへ入れます。
- グループポリシーや管理ツール: 企業環境で配布する場合、レジストリを GPO で配布する方法が管理上望ましいです。
ロール別チェックリスト
エンドユーザー:
- 重要なファイルをバックアップする
- 管理者の許可を得る(会社の PC の場合)
- 実行前にシステムの復元ポイントを作成する(推奨)
システム管理者:
- GPO での配布が可能か確認する
- 変更手順とロールバック手順をドキュメント化する
- テストマシンで事前検証を行う
サポート担当:
- ユーザーに実行手順を案内するテンプレートを用意する
- 失敗時のコマンド(bcdedit による削除)を提示する
巻き戻し(ロールバック)手順(SOP)
- レジストリキーを削除する方法
- regedit を開き
Computer\HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\Safe Mode
を削除します。
- regedit を開き
- Winaero Tweaker で追加した場合
- Winaero Tweaker を起動し、Safe Mode 関連のチェックを外すか、アンインストールします。
- セーフブートが解除されない場合
- 管理者権限のコマンドプロンプトで次を実行:
bcdedit /deletevalue {current} safeboot
bcdedit /deletevalue {current} safebootalternateshell
shutdown -r -t 0
受け入れ基準(確認ポイント)
- デスクトップの右クリックで「Show more options」を選ぶと Safe Mode の項目が表示される。
- サブメニューから「Restart in Safe Mode」「Restart in Safe Mode with Networking」「Restart in Safe Mode with Command Prompt」が選べる。
- 項目を削除すると元に戻る(レジストリキーが削除される)。
1行用語集
- セーフモード: Windows を最小構成で起動するトラブルシューティングモード。
- bcdedit: ブート構成データ (BCD) を操作するコマンドラインツール。
- Winaero Tweaker: Windows カスタマイズ用の無償ユーティリティ。
まとめ
デスクトップのコンテキストメニューにセーフモードを追加すると、トラブル対応の際に手早くモード切替できます。手軽さを優先するならレジストリスクリプト、GUI と復元の容易さを優先するなら Winaero Tweaker を選んでください。実行前にバックアップを取り、管理者権限と企業ポリシーを確認するのを忘れないでください。
Extras:
- この記事の手順は主に Windows 11 を想定していますが、Windows 10 環境の多くでも同様に動作します。環境によっては UI 表示やメニュー文言が若干異なる場合があります。
重要: レジストリやブート設定を変更する操作は慎重に行ってください。問題が発生した場合、上のロールバック手順で対処できます。
最後に: もし企業ネットワーク内の PC に対してこの種の変更を配布する必要があるなら、テスト計画とロールバック手順を含む展開計画を作成してください。