デスクトップのコンテキストメニューに電源プランを追加する方法(Windows 11 / 10)

目的と適用範囲
- 目的: デスクトップの右クリックメニューから電源プランを即時に切り替えられるサブメニューを追加する。
- 対象: Windows 11 / Windows 10 のデスクトップ環境。管理者権限が必要。
- 得られる効果: コントロールパネルを探す手間を減らし、頻繁に電源プランを切り替えるワークフローを高速化する。
重要: 実行前のチェック
- 管理者アカウントでログオンしていることを確認してください。
- レジストリを編集する前にシステムの復元ポイントを作成するか、レジストリのバックアップを取ってください。
- 企業ポリシーや管理ツールでレジストリの変更が制限されている環境では、IT管理者に相談してください。
方法の概要
- レジストリスクリプトを作成して実行する(Ultimate Performance を含む完全版)
- Winaero Tweaker を使う(GUI、Ultimate Performance は含まれないことが多い)
レジストリスクリプトで「Choose Power Plan」サブメニューを追加する
この方法は、直接レジストリにキーを追加してコンテキストメニューを拡張します。スクリプトはデスクトップの右クリックメニューに「Choose Power Plan」という親メニューを追加し、その下に複数のプランを並べます。
手順(推奨手順・詳細)
- メモ帳(Notepad)を管理者権限で開く必要はありませんが、保存先のデスクトップに書き込めるユーザーで作業してください。
- メモ帳を開きます(Windows のスタートメニュー→Notepad、または検索で “Notepad”)。
- 次のテキスト全体をコピーします。
Windows Registry Editor Version 5.00
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\PowerPlan]
"Icon"="powercpl.dll"
"MUIVerb"="Choose Power Plan"
"Position"="Middle"
"SubCommands"=""
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\PowerPlan\Shell\01menu]
"MUIVerb"="Power Saver"
"Icon"="powercpl.dll"
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\PowerPlan\Shell\01menu\command]
@="powercfg.exe /setactive a1841308-3541-4fab-bc81-f71556f20b4a"
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\PowerPlan\Shell\02menu]
"MUIVerb"="Balanced"
"Icon"="powercpl.dll"
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\PowerPlan\Shell\02menu\command]
@="powercfg.exe /setactive 381b4222-f694-41f0-9685-ff5bb260df2e"
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\PowerPlan\Shell\03menu]
"MUIVerb"="High Performance"
"Icon"="powercpl.dll"
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\PowerPlan\Shell\03menu\command]
@="powercfg.exe /setactive 8c5e7fda-e8bf-4a96-9a85-a6e23a8c635c"
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\PowerPlan\Shell\04menu]
"MUIVerb"="Ultimate Performance"
"Icon"="powercpl.dll"
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\PowerPlan\Shell\04menu\command]
@="powercfg.exe /setactive e9a42b02-d5df-448d-aa00-03f14749eb61"
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\PowerPlan\Shell\05menu]
"MUIVerb"="Power Options"
"Icon"="powercpl.dll"
"CommandFlags"=dword:00000020
[HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\PowerPlan\Shell\05menu\command]
@="control.exe powercfg.cpl"
- メモ帳に貼り付け(Ctrl + V)します。
- メモ帳の「ファイル」→「名前を付けて保存」を選びます。
- ファイルの種類で「すべてのファイル」を選択し、ファイル名を「Power Plan Script.reg」または任意の .reg 拡張子付きにします(例: PowerPlan.reg)。
- 保存先に「デスクトップ」を選び、保存を実行します。
保存後、Notepad を閉じます。デスクトップにできた .reg ファイルをダブルクリックします。
「レジストリに変更を加えますか?」という確認ダイアログで「はい」を選択します。続けて出る完了ダイアログで「OK」を押します。
デスクトップを右クリックしてください。Windows 11 の場合は「その他のオプションを表示(Show more options)」を選び、従来のクラシックメニューを表示します。そこに「Choose Power Plan」が表示されます。マウスを合わせると以下のようなプランを選択できます。
元に戻す(削除)手順
- レジストリエディター(regedit.exe)を管理者権限で起動します。方法は「Regedit を開く方法」ガイドを参照してください。
- アドレスバーに次のパスをコピーして貼り付け、Enter を押します:
Computer\HKEY_CLASSES_ROOT\DesktopBackground\Shell\PowerPlan
- PowerPlan キーを右クリックして「削除」を選び、確認ダイアログで「はい」を押します。
Winaero Tweaker を使って「Switch power plan」メニューを追加する(GUI)
Winaero Tweaker はサードパーティ製の無料ユーティリティです。GUI で操作できるため、レジストリ操作に不慣れな方に向いています。Winaero はソフト自体が信頼できる出所からのダウンロードであることを確認してください。
手順
Winaero Tweaker のダウンロードページへ移動します。
「Download Winaero Tweaker」を選択してインストーラーを入手します。
ダウンロードしたインストーラーの案内に従いインストールします。
Winaero Tweaker を起動します。
左側のカテゴリから「Context Menu」をダブルクリックして選択します。
- 右側のオプションから「Switch Power Plan」を選び、「Add Switch Power context menu to the Desktop(Add Switch Power)」のチェックボックスをオンにします。
- これでデスクトップの右クリックに「Switch power plan」というサブメニューが現れます。通常は Power Saver、Balanced、High Performance が表示されます(Ultimate Performance は含まれない場合があります)。
Winaero の別オプション
- Winaero には「Power Options」をコンテキストメニューに追加する別の設定もあります。これはコントロールパネルの電源設定を開くショートカットを追加するものです。
トラブルシューティングと注意点
- 表示されない場合: Windows を再起動するか、エクスプローラー(explorer.exe)を再起動してみてください。
- 権限エラーが出る場合: 管理者権限でレジストリの操作や Winaero のインストールを行ってください。企業のグループポリシーで制限されている場合は、IT 管理者に相談してください。
- Ultimate Performance が表示されない場合: 一部の Windows 11/10 エディションやハードウェアでは Ultimate Performance プランが無効化されていることがあります(特にバッテリー戦略が重視されるノートPCなど)。
- セキュリティ: サードパーティ製のユーティリティをインストールする場合は公式サイトからダウンロードし、ウイルススキャンを行ってください。
代替アプローチ(短い一覧)
- PowerShell スクリプトで切り替えボタンを作る(タスクバーやスタートメニューに登録)。
- ショートカットを作り、right-click メニューではなくタスクバー固定で運用する。
- グループポリシーや構成管理ツール(SCCM, Intune)で企業単位に設定を配布する。
簡易チェックリスト(実行前)
- 管理者権限で作業できる
- システム復元ポイントを作成済み
- 現行の電源プラン設定を記録(必要ならスクリーンショット)
- 企業の管理ポリシーに違反していないことを確認
巻き戻し(ロールバック)手順要約
- レジストリエディターを開く。
Computer\\HKEY_CLASSES_ROOT\\DesktopBackground\\Shell\\PowerPlan
キーを削除する。- Winaero で追加した場合は Winaero の同設定をオフにするか、アンインストールする。
1行用語集
- 電源プラン: Windows が CPU、ディスプレイ、ディスクなどの消費電力を制御する一連の設定。
- powercfg: Windows に標準搭載される電源設定ユーティリティ(コマンドライン)。
- レジストリ: Windows の構成情報を保持するツリー状の設定領域。
決定フロー(簡易)
flowchart TD
A[電源プランを右クリックメニューで切替えたい?] --> B{安全に操作できるか}
B -- はい --> C[GUIで簡単に:Winaero Tweaker を使用]
B -- いいえ --> D[IT 管理者に相談または PowerShell で代替]
C --> E{Ultimate Performance が必要か}
E -- はい --> F[レジストリスクリプトを使用]
E -- いいえ --> G[Winaero のまま運用]
D --> H[企業ポリシーに従う]
まとめ
デスクトップのコンテキストメニューに電源プラン用のサブメニューを追加すると、設定変更の手間を大幅に削減できます。簡単な GUI を好むなら Winaero Tweaker、より細かい制御や Ultimate Performance を追加したい場合はレジストリスクリプトを使う方法がおすすめです。どちらの方法も、管理者権限と変更前のバックアップを忘れずに行ってください。
重要: 変更前に必ずシステムの復元ポイントやレジストリのバックアップを作成してください。問題が起きた場合は、この記事の「元に戻す(削除)手順」を参照してロールバックしてください。