Windows 10 の自動更新を止める(再起動やダウンロードを抑える手順と注意点)

Windows 10 の自動更新を完全に止めることは推奨されませんが、再起動のスケジュール設定、接続を従量制にする、ドライバーの自動更新停止などで自動更新や強制再起動による作業中断を大幅に減らせます。Professional/Enterprise/Education ではグループポリシーでより強力に制御できます。
目次
- 再起動のスケジュールを設定する
- インターネット接続を従量制にする
- 自動ドライバー更新を無効化する
- Professional/Enterprise での対処(グループポリシー)
- いつこの対処が有効で、いつ注意が必要か
- 役割別チェックリスト、簡易ロールバック手順、決定フローチャート
なぜ必要か(短く)
Windows 10 は既定で更新を自動で検出・ダウンロード・インストールし、必要に応じて再起動します。セキュリティ面で更新は重要ですが、作業中に突然再起動されると業務に重大な影響が出ます。本稿は「更新そのものを完全に止める」よりも「邪魔されないように制御する」ための実用的な手順とリスクをまとめます。
重要: 更新を無効化するとセキュリティパッチが適用されずリスクが高まります。可能な限り一時的な対応として利用し、定期的に手動で更新を適用してください。
再起動のスケジュールを設定する
Windows 10 では更新がダウンロード・インストールされたあとに再起動が必要になると、再起動の予定をユーザーが指定できる場合があります。特に「アクティブ時間」の設定が有効なら、その時間帯に自動再起動されません。
手順(GUI):
- [スタート] → [設定] を開く。
- [更新とセキュリティ] → [Windows Update] を選択。
- 「再起動のオプション」または「アクティブ時間の変更」を選び、都合のいい時間帯を設定する。
注記: 一部の Windows 10 ビルドではスケジュール再起動のオプションが限定的です。ビルドによっては「アクティブ時間」が最大 18 時間など増減します。
重要: 再起動の延期は一時的な対処です。重要なセキュリティ更新はなるべく夜間やメンテ時間帯に計画して適用してください。
インターネット接続を従量制にする(ダウンロードを防ぐ)
概要: 接続を「従量課金接続(Metered connection)」としてマークすると、Windows はデータ使用量を節約する設定を優先し、OS 更新の自動ダウンロードを抑制します。ただしこれは完全な停止ではなく、更新は手動で実行可能です。
手順(Wi‑Fi):
- [設定] → [ネットワークとインターネット] → [Wi‑Fi] を開く。
- 接続しているネットワーク名をクリックし、[詳細オプション] を開く。
- 「従量制接続として設定」をオンにする。
注意: 設定画面からは Ethernet(有線)接続を従量制に設定できないことが多いです。Ethernet を従量制にするにはレジストリ編集が必要になります(以下の注意を参照)。
手動で更新を行う場合: [設定] → [更新とセキュリティ] → [Windows Update] → [ダウンロード] を選択します。
セキュリティ注記: 従量制接続にしていると自動ダウンロードは抑制されますが、重大な更新は例外的に配信されることがあります。
自動ドライバー更新を無効化する(デバイスドライバーの抑止)
ドライバーだけ自動更新したくない場合の手順(シンプルな GUI 操作):
- [スタート] を右クリックして [コントロールパネル] を選択します(または [設定] でシステム設定を検索)。
- [システム] を開き、左ペインの [システムの詳細設定] をクリックして [システムのプロパティ] を開く。
- [ハードウェア] タブを開き、[デバイス インストールの設定] をクリックする。
- 「Windows Update からデバイス ドライバー ソフトウェアのインストールを行いますか?」と聞かれたら「いいえ」を選択し、[変更を保存] をクリックする。
効果: これで自動ドライバー取得は止まりますが、OS 本体の更新は引き続き行われます。
注意: デバイスの安定性やセキュリティのため、主要なドライバーはメーカー推奨のタイミングで手動更新してください。
Professional / Enterprise / Education でできること(グループポリシー)
仕事用 PC や組織管理下の機器では、グループポリシー(gpedit.msc)で自動更新の挙動をかなり詳細に制御できます。代表的な設定:
- 自動更新の構成(自動ダウンロードや通知のモード変更)
- 再起動の自動化を無効化するポリシー
- 更新の配信最適化(配信の帯域を制限)
手順(例):
- Win + R で gpedit.msc を実行。
- [コンピューターの構成] → [管理用テンプレート] → [Windows コンポーネント] → [Windows Update] を開く。
- 「自動更新を構成する」などのポリシーを編集して組織に合わせた設定にする。
運用の注意: グループポリシーでの制御は強力ですが、組織のセキュリティ基準に従って運用してください。
Ethernet を従量制にする(上級者向け)
Windows の設定 UI からはできないためレジストリ編集が必要になります。レジストリ編集はシステムに重大な影響を与える可能性があるため、実施前に復元ポイントを作成してください。ここでは概念のみ示します。
手順(概念):
- レジストリエディタで該当するネットワークインターフェースのキーに Metered 設定を追加する。
- 実装は OS バージョンやドライバーによって差があるため、詳細は別記事や公式ドキュメントを参照してください。
警告: レジストリ変更は慎重に行い、バックアップを必ず取ってください。
いつ有効で、いつ失敗するか(反例と制限)
有効なケース
- 単独の個人 PC で、作業中に再起動を避けたいとき。
- 低データ量のモバイル回線を使っていて自動ダウンロードを避けたいとき。
- ドライバーの互換性問題で自動更新を止めたいとき。
効かない/注意が必要なケース
- 致命的なセキュリティ更新は一部例外的に自動適用される場合がある。
- 組織ポリシーで強制的に更新が配信される端末では個人側の設定が上書きされる。
- 長期間更新を止めると既知の脆弱性に晒される。
決定フローチャート(簡易)
flowchart TD
A[作業中の中断を防ぎたい?] --> B{職場の端末か?}
B -- はい --> C[IT 管理者に相談。グループポリシーで対応]
B -- いいえ --> D{Wi‑Fi か有線か}
D -- Wi‑Fi --> E[従量接続に設定 → 手動で更新]
D -- 有線 --> F[一時的に再起動スケジュールを設定。必要ならレジストリ編集]
C --> G[ポリシーで再起動・配信設定を調整]
E --> H[重要更新は手動で適用する]
F --> H
役割別チェックリスト(簡易)
個人ユーザー(Windows 10 Home)
- 再起動スケジュール/アクティブ時間を設定する
- Wi‑Fi を従量制にする
- ドライバーの自動インストールを無効にする
- 週次で手動更新を確認する
パワーユーザー/テクニカルユーザー
- Ethernet を従量制にする手順を検討(テスト環境で先に試す)
- 更新のテストとロールアウト計画を作成する
IT 管理者
- グループポリシーで更新配信と再起動を管理
- セキュリティ更新の例外ポリシーを定義
- エンドユーザー向けの更新スケジュールを周知する
簡易ロールバック/検証メソッド
- 変更前にシステム復元ポイントを作成する。
- 1 台で変更を行い 48 時間運用テストを実施する。
- 問題がなければ段階的に他端末へ展開する。
- 問題発生時は復元ポイントで元に戻すか、ポリシーを無効化して再起動して復元する。
セキュリティとプライバシーに関する注意
- 更新停止は短期的な対処に留め、脆弱性対策を怠らないこと。
- 特に Internet Explorer/Edge、ブラウザ、ネットワークドライバーの更新を長期間放置すると攻撃リスクが増大します。
- 機密データを扱う端末では、更新を停止する際に上位のセキュリティ対策(ファイアウォール、アンチマルウェア、最小権限)を強化してください。
1行用語集
- 従量制接続: データ使用量に制限を設け、OS による自動ダウンロードを抑える設定。
- グループポリシー: Windows の企業向け管理機能で、更新や設定を一括制御できる仕組み。
まとめ
- 作業中の自動再起動を避けるには「再起動のスケジュール」や「アクティブ時間」の設定が最も手軽で安全です。
- 自動ダウンロードを抑えるなら Wi‑Fi を従量制に設定します。Ethernet を従量制にするには上級設定が必要です。
- ドライバーの自動更新はコントロールパネルから無効化できますが、OS 本体の更新は継続する点に注意してください。
重要: 本稿の手順を利用する場合は、定期的な手動更新とセキュリティ監視を必ず実施してください。